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神さまを待っている

神さまを待っている

神さまを待っている

作家
畑野智美
出版社
文藝春秋
発売日
2018-10-26
ISBN
9784163909080
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神さまを待っている / 感想・レビュー

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風眠

貧困女子に焦点を当てた「物語」ではあるが、ホームレスとなり漫画喫茶を転々としたり、いわゆる神待ちをして寝場所を確保したり、生きるためにワリキリ=売春をするしかない、という状況に追い詰められるまでの女子の「現実」が描かれている。小説なので、そこに救いの手があり、貧困から抜け出すところまで描かれているけれど、現実はもっと過酷だろう。真面目だから人に頼れない、虐待から逃げ出したから、未成年だから・・・本当に困っている人にサッとお金を出さないシステムの不条理さに怒りを感じる。税金は何の手続きもなく引き落とすのに。

2019/01/01

ウッディ

派遣契約が更新されず、次の仕事が見つからないまま家賃を払えず、ネットカフェ難民になった26歳の“愛”。転落する人生に手を差し延べてくれる神はいるのか?桐野さんの「路上のX」と似ていたが、それよりはましな状況。ホームレスになる前にもう少しできることがあったのではと思わせる主人公の見通しの甘さとかたくなさが歯がゆい。学歴も頼れる人もなく、もっと過酷な状況で、社会にしがみついている人もいる中で、そんな人達とは違うという彼女のプライドが少し鼻につき、神さまに救われる彼女の幸せを単純に祝福できない自分がいました。

2019/02/12

ケンイチミズバ

人件費削減のため非正規雇用が企業には不可欠です。非情な言い方ですが経営者はみなそう考えます。正社員に対しても人員要求などしようものならお前たちの賃金を維持するために派遣や業務委託を増やした。どうしても正社員というならお前たちの賃金をカットするしかないと言う。莫大な利益は内部留保に組み込まれトリクルダウンなどほとんど起こらない。一方で資産運用のためにトヨタ自動車の元本保証AAA株をポンと10億円分買ったりする。そんなキャッシュを出せるのに派遣社員が正社員になったとは聞いたことがない。神様は待ってても来ない。

2018/11/05

ネギっ子gen

【お金がない……】主人公は「誰にも甘えず生活できるようにならなければ、自立にならない」と考え頑張るが、自らの不器用さが災いして漫喫で寝泊まりして「出会い喫茶」で金を稼ぐことに――。性虐待など含んだ“”貧困”がテーマの暗い小説ながら、題名に連動するかのようなラストの2行で、気持ちよく読み終えられました。巻末に貧困に関する参考文献が掲載される。どれも良書だが、(本来読んでほしい)JKなどは読まないでしょうね。でも彼女たちも、このような小説という形ならば読んでくれる(表紙がいい。若い子に受けそうだ)かなぁ……

2020/01/04

utinopoti27

親や友人に頼れず、定職にもつけず、出会い喫茶の茶飯収入で糊口をしのぐネカフェ難民・水越愛26歳。大学まで出た彼女はなぜホームレスになったのか。愛は社会の底辺に堕ちた自分を卑下する一方で、同じ貧困女子たちを、どこかで見下げているところもある。そして起こる、ある決定的な事件。かすかな希望が絶望に変わる瞬間を経験した愛は、本当の貧困の意味を悟るのだ。彼女にとっての神さまは誰か・・。愛が招いた境遇を、自己責任と片付けるのは容易いが、その奥に潜む根源的な問題の理解に至らずして、本作を読み解くことはできないだろう。

2019/12/23

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