ダンシング・マザー
ダンシング・マザー / 感想・レビュー
風眠
『ファザーファッカー』を母親の目線で描いた本作『ダンシング・マザー』。これを書いている時、作者は相当に苦しかったと思う。私の想像では計り知れない、地獄のごとき苦しみを追体験したはず。虐待に加担した母親の気持ちを想像し、客観的に書く作業は、娘としては認めたくない事と向き合う事でもある。自分の心の苦しみには一切触れず、母親が感じたであろう事のみ語られている為、作者のモデルである静子が得体のしれない感じに私には映った。そう感じさせる作家の凄味。完全母親目線で書ききった作者の決意に対し、私は静かに拍手を送りたい。
2019/02/06
ででんでん
「ファザーファッカー」は、25年も前だったのか。それを母の視点で改めて書いた作品。「ファザー…」が衝撃的だったということ以外、記憶が曖昧になっていたが、読み進むうちに甦る。春菊さん視点の前作より、今回の作品の方が、より一層酷さが浮き彫りになっていると感じた。刺し殺したい気持ち…わかる。自分が死んでしまわずに、生き延びた春菊さんを尊敬する。
2019/02/05
nana
読んでいてすごく不快だった。毒母はもちろんだけど、毒父さもひどい。
2019/01/09
そら
内田さんの作風は知っていたが、生い立ちのことは知らずに単なる小説だと思い読了した。この物語には父親が2人登場するが、どちらもヘドが出るほど糞みたいな奴だ。母親の目線で語られるこの物語は何の救いも光もなく、ただただ気持ち悪いのと、黙認(むしろ娘を差し出す)的な母親に天罰でも下るんじゃないかと期待したが、最悪なままぷっつりと途切れてしまう。唖然とした。これは何なんだ?とあとがきを読み、状況を理解した。ありえないし、本当に気の毒だと思う。絶対に許せない。だが家庭内での性的虐待はなくならないことも現実なのだろう。
2022/03/20
しーちゃん
読み進めるのに、かなりの覚悟が必要。心が弱っている時に読むべきではない。私自身この怒りを何処へ持っていけば良いのか、嫌悪と狂気、作者である主人公はよくぞ今まで生きながらえていたなと感心し、感謝する。これはもう人間ではなく鬼畜だ。自分の娘を情夫に差し出す。襖一つ隔てた部屋で。「ファザーファッカー」から25年、その時のおぞましい感情が、本作で蘇る。続けて言うがこの作品から学ぶべき事は何もない。興味のある方はまず「ファザーファッカー」から読む事を進めます。
2019/06/17
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