五つ数えれば三日月が
五つ数えれば三日月が / 感想・レビュー
starbro
第161回芥川賞受賞作・候補作シリーズ、4作目(4/5)です。李 琴峰、初読です。LGBT×台湾×私小説といった感じでした。芥川賞候補作らしい瑞々しい作品ですが、少しインパクトに欠けるかも知れません。続いてラスト『ラッコの家』へ。
2019/08/28
散文の詞
-五つ数えれば三日月が- 清らかと言うか清々しいと言うか読んでて落ち着かなくなるほどの文章です。とは言え、決して大袈裟でもなく淡々と異国で暮らす日本人と日本で暮らす外国人がそれぞれ描かれ、その結果には、余白をのこしたままです。それがいいという人もいるでしょうが、私としてはもう少し読みたかった気がします。 -セイナイト- LGBTについて日本文学では高表現したらいいのではないかと手探りで書かれたような小説。 そういうこともあるのかと思うくらいだな。 まあ、中国語と日本語の対比が面白かった。
2020/12/01
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
☆4.0 第161回芥川賞候補作の『五つ数えれば三日月が』と『セイナイト』の2篇を収録。 著者の李琴峰は、1989年台湾生まれ。作家・日中翻訳者。2013年来日、早稲田大学大学院修士課程入学。 両作品とも同性愛の片恋が底辺に据えられ、 台湾と日本、中国語と日本語、台湾人と日本人であるふたりの「漢字」という共通の文化がありながらも通じあえないもどかしさ歯痒ゆさが描かれている。 『五つ数えれば三日月が』よりも『セイナイト』の方が響いたかな。
2021/03/11
なゆ
李琴峰さんの話には、“もどかしい想い”と“月”がいつもある気がする。表題作は大学院生時代の旧友の美桜と五年ぶりに会った一日の話。台湾人の“私”は日本で働いているが、台湾で就職・結婚している美桜が久しぶりに日本に。ここでもどかしいのは、私は美桜に特別な感情をもっていること。伝えたい、いや、でも。二人の間の空気が複雑に揺れるのを見守っている感じ。『セイナイト』も台湾✕日本の女性同士の恋愛の1ページ。せっかくのクリスマスイブなのに、クロッキー会に付き合ってモヤモヤしてる。言葉遊びというか、漢字遊びが面白い。
2021/08/12
buchipanda3
「桜舞い 梅飛び 日月流れて」。台湾出身の林妤梅は、震災と留学の来日時期が重なってしまう。覚束ない中で浅羽実桜と出会い共に大学生活を送り、やがて妤梅は日本で、実桜は台湾で就職する。出身と居住が入れ替わる形で分かれた二人は久々に日本で再会した…。近況を語り合うだけの物語だけれど、そこには内に抱えた憂いな思いが見え隠れする。異国の風習に身を置いている自分への戸惑い、そして妤梅から実桜への同性愛の想いと寂しさ。その気持ちを込めた七言律詩は大人しい妤梅と対比するかのように壮麗だった。月に向けた想いは届いたのか。
2019/06/20
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