パチンコ 上
パチンコ 上 / 感想・レビュー
鉄之助
「在日」コリアン4世代にわたる壮大な物語に、圧倒され、夢中で読んだ。「歴史が私たちを見捨てようと、関係ない。」冒頭、高らかな宣言文のような書き出しから、期待を裏切らない力作だった。「朝鮮人は不潔だと日本人は思っているが、不潔な環境で生活するよりほかにない」在日の暮らしがリアルに迫って来る。しかし、底にあるものは、日韓併合に始まる軍国主義に対する単なる”日本糾弾”ではなかった。そこで必死に生きている人間ドラマが面白い。下巻も楽しみ。
2020/10/07
starbro
全米図書賞最終候補作にて世界各国のベストセラーということで読みました。朝鮮・日本を舞台にした家族大河小説、上巻は一気読みです。まだ何でタイトルが『パチンコ』なのか解りません。韓国人作家は男性器を「ウナギ」と表現するのがポピュラーなのでしょうか(笑)続いて下巻へ。トータルの感想は上・下巻完読後に。 https://ddnavi.com/review/651446/a/
2020/10/03
モルク
日本に併合されていた時の朝鮮釜山沖の影島で下宿屋を営む家の娘ソンジャは、ハンスに恋をし妊娠するも彼には大阪に妻子がいることを知り彼と別れる。生まれてくる子供の将来を案じていた時に下宿に逗留していた牧師イサクが結婚をし自分の子として育てることを申し出る。二人はイサクの兄の住む大阪へ。大阪での生活、戦争の激化、在日朝鮮人への偏見、差別、迫害…夫の死、二人の子を抱えての生活、ハンスとの再会…新たな展開がありそうな下巻が楽しみ。困難に負けず生きる人々を応援したい。なぜ今まで読まなかったのかな、こんなに面白いのに。
2022/09/24
とん大西
日本統治下の朝鮮半島、つましく真面目に暮らす男フニ。家族の壮大な物語は彼から始まる。妻に迎えたヤンジンとの間に生まれたソンジャ。下宿屋を生業とし、決して裕福ではないが家族の愛情を受けて成長する一人娘のソンジャ。ままならない青春の葛藤を経て、心優しき牧師イサクとの結婚を機に大阪へ。時は大戦前の日本。異邦人である彼ら-日本での暮らしやすさと暮らしにくさ。理不尽なこと、それでも幸せの証があったこと。母として妻として女としてひたすら生きようとするソンジャたちの家族太平記。圧巻の読み応えです(^^)。下巻へ。
2020/10/03
ケイトKATE
激動の20世紀を生きた在日コリアン家族の波乱万丈の物語に心を揺さぶられた。読む前は、日本人による在日コリアン差別が書かれていると予想して痛い気持ちになることは覚悟していたが、それよりも、苦難の人生においてたくましく生きるソンジャやキョンヒそしてモーザス。日本の裏社会のボスとして君臨し日本人や同胞コリアンから蔑まされても愛する者に手を差し伸べるハンス。誰よりも気高く生きようとしながら自分の出自を知り嫌悪して破滅するノア。それぞれの登場人物たちの生き方に感情移入してしまった。(下巻に続く)
2020/09/26
感想・レビューをもっと見る