げいさい
げいさい / 感想・レビュー
starbro
同郷で同い年しかも同じ10月生まれということで、会田 誠の著作を初めて読みました。げいさい(芸祭)が多摩美大芸術祭の略だとは思いませんでした。本書は著者初の私小説、芸大青春グラフティでした。素人作家の割には良く書けていますが、やはり絵筆の方が良いと思います。 https://books.bunshun.jp/articles/-/5859?ud_book
2020/10/21
buchipanda3
80年代半ば、美術予備校へ通う浪人生・二朗の青春記。芸大受験という背景、岐路に立つ主人公、芸祭のパフォーマンスの描写、さらに彼女だけ合格してるというあららな恋の行方と興味を惹きまくる青春もので面白く読めた。祭りの熱気からか友人の美大生や助手たちみんなが浪人生へ語りまくる。新旧の美術論から受験テクニックの弊害まで。受験用の描き方という感性より合理性が先に立つ現実。二朗が主観がぶれて戻れないあの場面は読むのがしんどかった。夢見のようで現実であった芸祭の特別な一夜。それを通過点だと作者は言う。確かにと合点した。
2020/10/11
みかん🍊
1986年多摩美の学園祭に予備校時代の友人に誘われ行った現在東京芸大を目指し2浪中の二郎の一夜の話、自身の芸術と受験の為の絵との乖離に悩み、芸術論、現代美術と社会について議論を交わす芸大の人々の中に翻弄されていく二郎という主人公を通して著者自らの過去を小説にした作品、86年と言う事で現代の美大の在り方も多少は変わってきていて、この頃の事情もすでに過去になっては来ているが、芸術を志し成し遂げるのは一握りというのは現代も変わらない。
2020/10/15
アキ
第一線で活躍中の画家が自身の美大受験を振り返って書く小説なので興味深々で読んでみた。美大受験予備校生活の恋愛を絡めて予備校仲間と先生との一夜の芸術談義は、1986年11月2日と設定しているが、日本の美大受験システムの弊害や美術教育の歴史、虚業のような芸術家という仕事、評論家と画家との関係、油絵科と他の科との交流の欠如など、その頃から今に至るまで続く問題点を提示している。「あのコは、嘘つき」と熊澤さんに言われた、佐知子のその後が気になるナ。因みに主人公のモデルは、さすがにご本人ではないらしい。
2020/10/17
はるを
🌟🌟🌟🌟☆。¥570。「げいさい」と呼ばれる芸大で行われる学祭の一夜とそれに伴う回想録を織り交ぜた青春群像劇。初期の村上春樹作品を彷彿とさせるトコロを感じつつ楽しく読了。(時系列が時々「?」ってなる時があってそこはマイナス。)芸大って2〜3年浪人なんて当たり前くらい入るの大変で、倍率36倍なんて尻込みする。こういう話って芸大に限らず色々な世界であるよね。「予備校絵画」って今なら理解出来るけれど二十代の時は反発したくなるよなぁ。二郎には踏ん張って欲しかった。「予備校絵画」って解っていたのに勿体ない。
2021/11/04
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