星のように離れて雨のように散った
星のように離れて雨のように散った / 感想・レビュー
starbro
島本 理生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本作は、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』オマージュ、春夏秋恋愛譚でした。星のように離れて、雨のように散ったのかなぁ? https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163914015
2021/09/05
さてさて
『なんでだろうね。結婚って言われて嬉しい気持ちもあったのに、なにかが違うっていう気持ちが拭えなくて』 大学院で日本文学を専攻する主人公の春が「銀河鉄道の夜」と向き合っていく中に、ひとつの成長を見る物語。そこには、主に四人の人物と繰り返し対話する中に、前に進むための答えを見出していく春の姿がありました。「銀河鉄道の夜」を既読かどうかが物語の理解に差をつけるこの作品。読後、「銀河鉄道の夜」がとても読みたくなるこの作品。コロナ禍を背景にした物語の中に、島本理生さんらしい極めて繊細な物語を見た、そんな作品でした。
2024/04/16
のぶ
主人公は日本文学科大学院の原春。卒業を前に修士論文のテーマに悩んでいた。創作小説による修士論文と、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を扱った副論文を合わせて提出する事を考えていた。そして春は幼い頃に父が失踪していた。この失踪と未完の小説、それに「銀河鉄道の夜」が絡み合って物語は進行する。嫌な人は出てこない。恋人の亜紀やゼミ仲間の篠田と売野らが春を支えてくれる。話の根幹に失踪した父の存在が影を落としていて、それが春の現在の立ち位置を浮き彫りにしていた。読むほどに深いものが湧いてくるような作品だった。
2021/08/09
美紀ちゃん
優しい話だった。 春と亜紀くん。 売野さんの存在がいい感じ。モヤモヤなことをなんでも相談できる相手は重要。 吉沢さんも。適切な距離をとって対話の中に明るいものを見つけてくれた。亜紀くんともこんなふうに、互いの中の優しく光る星を見つけるようなやり方をしたかったと気づく。 自分のことを客観的に話す事ができるようになった時に、「その話こそ物語と呼ぶべきもの」と吉沢さんに祝福される。 救済とは、理解のこと。
2021/08/17
ひめか*
文学部の院生の主人公・春の物語。宗教関係で家庭内がもめて、父が手紙を残して失踪するという暗い過去を持っているとはいえ、あまりにも面倒臭い女で好きになれない。私を愛してるってどういうこと?とか聞かれてもね…彼氏がいるのに、作家の吉沢さんにも気を取られたりとか、孤独な気持ちや寂しさを他人で埋めないと春は生きていけないのかもしれない。吉沢さんは良い人だな。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に対する考察や、自分との重ね合わせは院生らしくて良かった。周りがいい人だから救われているけど、もう少し自分に自信を持てたらいいよね。
2022/08/07
感想・レビューをもっと見る