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後列のひと 無名人の戦後史

後列のひと 無名人の戦後史

後列のひと 無名人の戦後史

作家
清武英利
出版社
文藝春秋
発売日
2021-07-28
ISBN
9784163914046
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後列のひと 無名人の戦後史 / 感想・レビュー

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trazom

本書は「最前列ではなく、後ろの列の目立たぬところで、人や組織を支える人々がいる」という文章で始まる。戦争に翻弄された人たち、企業を支える職工、ベトナムに関わった人たち、バブルの後始末に奔走した人たちなどのオムニバス。「私は壁掛け時計の釘のようなものですわ」「低く暮らし、高く思う」などの言葉にハッとする。こういう人たちへの感謝を忘れてはならないと思うが、もし、これらの物語を、沢木耕太郎さんや柳田邦夫さんや本田靖春さんのような、人の哀しさに寄り添える一流のルポライターが描いたら、もっと心に響いたに違いない。

2021/11/03

楽駿@新潮部

品川図書館本。金融関係のノンフィクションに関して、清武氏の作品には、緻密に調査されていて、興味深く読み進めているが、今回は、今までの取材の中で出会った、主役でなく、重要な脇役ともいえる人達にスポットを当てている。金融だけでなく、戦時下のテストパイロットの死や、終戦をベトナムで迎えて、そのまま、現地に残り、後に、日本に戻ってきた人、等々。私の親の世代は、自分が戦地に赴かないまでも戦争経験者だが、私の下の世代には、誰がリアルな戦争を語るのか。誰が、バブルの前後を語るのか。文字にしなければ、未来に残せない。

2021/12/01

速読おやじ

ひとりひとりの人生が各章に凝縮されて描かれている重みのある作品だった。タイトル通り、主人公は最前列には出てこない後列の無名な人々である。でも、そこにドラマがあるのだ。特に第一章で先の戦争に翻弄された人々を描いたストーリーが心に残る。相場師長谷川陽三の話も興味深い。相場師の話としては若い頃の沢木耕太郎の「人の砂漠」に出てくる板崎喜内人が有名だが、ここでも出てくるが、これまた豪快なドラマだ。ここに出てくる人々は本当に魅力的だ。なぜか?みな、真剣にブレずに人生を全うしているからだ。

2022/06/17

宇宙猫

★★★ 時代を象徴する出来事の中にいた無名の人達の記録。そういう事があったのかと面白く思ったが、個々の話としては響かなかった。いかにも取材という感じで、読み物としては今一歩だったな。・ロケット開発:糸川博士が13年しか開発に関わってなかったとか、奔放な暮らしぶりに驚いた。・特攻した兵士の家族や関わった人達。・ベトナム残留兵:軍事教練を行って戦争の神様と呼ばれる。・伝説の相場師。・バブル後の整理回収機構で働いた人達。

2021/12/07

遊々亭おさる

世の中は、神輿に乗る人と神輿を担ぐ人で成り立っている。神輿を担ぐ人が居なければ、どんなに崇高な理念も絵に描いた餅となる。本書は、戦争の記憶も生々しい時代から狂乱のバブル期を経て、金儲けの手段として東京五輪に大手企業が群がった現代まで、歴史に名を残すことはないが、子や孫や後輩に人として組織人として、真っ当に生ききったと胸を張れる人々の人生が綴られる。人生の成功とは富や名誉ではなく、自分の信念を貫き、死ぬことだと思わせてくれる一冊。平凡な人生などどこにもなく、誰の人生にも波乱万丈の冒険のドラマが隠されている。

2021/10/09

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