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播磨国妖綺譚

播磨国妖綺譚

播磨国妖綺譚

作家
上田早夕里
出版社
文藝春秋
発売日
2021-09-27
ISBN
9784163914350
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播磨国妖綺譚 / 感想・レビュー

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nobby

何とも最終話の美しく光る舞いが残す余韻は心地よい♬そして気付けば全て思い出させる振り返りも素晴らしい!時は室町時代の播磨国、そこに暮らす薬師の兄と僧侶な弟。そんな兄弟が共に仰せつかるのは法師陰陽師。堅いタイトルや表紙に描かれる怖げな赤鬼の印象とは違い、人間の些細な優しさ哀しさを柔らかく読ませるのがいい。物の怪という実は震えあがるべき存在をコミカルに登場させるのが面白い。悪者として語られるのが、設定故の安倍晴明くらいってのが斬新(笑)時系列も並んで連なる6篇に、多くの魅力的なキャラとなれば続編ぜひ読みたい!

2022/01/13

みっちゃん

表紙の恐ろしげな赤鬼は、かの悪名高き陰陽師の式神。この者の果たせなかった思いを成就させる為に名を与え、使役する事と相成った僧と薬師の兄。おどろおどろしい表紙とは裏腹に、彼らがタッグを組んで解決する、この世ならざる者の起こす事件の顛末は美しい文章で綴られていて、哀しくも優しさに溢れている。この世界に存在する全てのものへの愛おしさで胸がいっぱいになるよ。上田さんはSF作品も大好きだけど、こういう異形の存在を描いたものも断然良い。シリーズ化を熱望する。

2022/01/05

ちょろこ

優しい陰陽師の世界の一冊。時は室町時代、舞台は播磨国。かの有名な蘆屋道満の血を遠く引く兄弟、律秀と呂秀。薬師と僧というそれぞれの得意分野を駆使して病と妖しに向き合う陰陽師ストーリー。これはどストライクで好きな世界。なんといっても読みやすく、スルスルと心に沁み込むのが良い。そしてその根底に静かに流れるのは優しさ。これがなんとも心地よく、じんわりと目と心に温かさが巡る感覚が最高だった。あきつ鬼の存在も魅力的。彼の胸の内に心を添わせる呂秀との関係がまたじんわり魅せてくれる。これは続編が読みたくなる。

2021/11/29

モルク

都の陰陽師は幕府の政を支えていたのに対し、地方で庶民のために働く法師陰陽師。晴明と戦った道満の子孫、播磨の国の法師陰陽師の兄弟。兄は優れた薬師であるが妖の姿を見ることはできない。弟は見えるので退魔の祈祷を行っていた。弟はあきつ鬼という式神を従え事件、変異を解決する。海の亡霊も山の神も、その穏やかな解決に満足、満足。異形、妖と言えども何かあたたかみを感じた。道満とあきつ鬼との関係は何かありそう。続編があるのかな。もっと読みたい。

2022/06/03

kou

蘆屋道満の末裔の法師陰陽師の兄弟の話。派手なバトルや悪霊を滅するとかは無く、どの話も心がほっこりする読後感だった。特に元蘆屋道満の式神「あかつ鬼」が良い味を出していた。あきつ鬼の「鬼は人ができぬことをする、人は鬼ができぬことをする」ってセリフは、この物語を表わしていると思う。続編希望。

2021/11/26

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