ドストエフスキーの預言
ドストエフスキーの預言 / 感想・レビュー
ゆうきなかもと
チェコの神学者フロマートカと、チェコスロバキア共和国の初代大統領によるドストエフスキー解釈の読み解きから始まり、それらを通して、ソ連、チェコ、ドイツ、ポーランドなどの本質や、キリスト教徒はいかにあるべきか、あるいは、旧教、新教、正教の違い、キリスト教徒と共産党員やマルキストの対話は可能かなどについて書かれた本。ロシアによるウクライナ侵攻前から読み始めて、侵攻後の今日まで読んだが、ある種、ロシアの所業もここに予言されていたのかと思った。佐藤優は預言者ではないだろうが、予言者かもしれないとすら思った。
2022/05/01
都人
「預言」とは、神の言葉を人の体を通して語ること。ドストエフスキーの著作から彼と宗教の関わりを説いたチェコのキリスト教神学者・マサリク氏(チェコの大統領でもあった)の著作を、著書がひもとく。ドストエフスキーの著作を単に読むことすら困難な私には、この本を理解出来るはずも無い。 ただプラハの街は音楽を聴きに一週間ほど滞在したので「時計塔」「共和国広場」「フスの像」「市民会館」等懐かしい。
2022/02/07
amanon
想定外に読み終えるのが辛かった。題名からしてドストエフスキーについての文学論だと思いきや、ソ連崩壊前の東欧の政治事情に加え、哲学、神学、文学が絡むというかなり入り組んだ内容。一般的に馴染みのない神学者、文学者の名前が頻出するということもあり、かなりとっつきにくいというのが正直なところ。ただ、その当時の東欧諸国における複雑な状況。特に、政治や宗教的立場を巡っての複雑な駆け引きや、その中で生じる感情の機微など、島国日本ではなかなか理解しづらい事情があるのだな…再認識。ドストエフスキーの著作を再読したくなった。
2022/07/29
kogyo_diamond
スメルジャコフの死が腑におちず何かしら解を求めてタイトルを漁るうち辿りついた。著者名佐藤優の名に神学部卒元ロシア外交官、書くべく人が書いているな、感心したが読むうちにこれは神学への誘い、ニヒリストの私が読むべくして読んでいるのでは?コレって啓示?実は私、光の子?胸に手をあてその気に。スメタナをBGMチャペックもカフカもチェコの人だったか、ああフス戦争!頭の中チェコ情報錯綜。自らの知恵で表象できるような神はキリスト教が想定する神ではない。人間が頭で考えたことを投影した偶像。無神論の中にある神の啓示を知ること
2022/09/05
金北山の麓に生まれ育って
【キリスト教ってなんだろう?】まるで神学研究書、狭くしても「大審問官とは?」です。だから無理です飛ばし読み、ドストエフスキーは好きでだけどその他が知らない事ばかりで全然解らなかった。それにしても佐藤氏が「神に囚われた」と洗礼しましたとサラッと書かれたところで何故神などどうして信じられるの?宗教専攻してたのに?腑に落ちない。芥川の自死直前の様子や正宗白鳥の入信、無宗教の日本の凡人達の一人である私には耶蘇教は嘘八百でまだ葬式仏教の方が自然。私達には想像ができない魅力が知識人にとってはあるようで「解らない」。
2023/02/12
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