ミス・サンシャイン
ミス・サンシャイン / 感想・レビュー
ヴェネツィア
昭和の大女優、和楽京子(石田鈴)の一代記を、ごく普通の青年、一心の目を通して語るという趣向。和楽には特定のモデルはなく、何人かの女優のエピソードを踏まえながらも、創造された女性かと思われる。一心が初めて彼女に会ったのは、すでに女優を引退して十数年後であり、彼女は老境にさしかかろうとしていた。吉田修一が上手いのは、そんな彼女の持つオーラの力を随所に感じさせることである。一心はしだいに彼女に魅かれていくのだが、読者もまた彼女の像を一心の視点に重ね合わせて行くのである。もちろん作家は彼女の光と影(それは長崎の⇒
2024/09/11
starbro
吉田 修一は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。最近増えている高齢者小説かと思いきや、年齢を超越した芳醇な恋愛譚の感動作でした。まだ1月ですが、今年のBEST10候補、吉田 修一のMyBESTです。 帯にコメントを寄せている吉永 小百合(和楽京子)&中川 大志(岡田一心)のW主演での映画化を期待します。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163914879
2022/01/27
旅するランナー
すでに80歳を超えているが、その人は美しい女性だった。昭和の大女優と大学院生の優しく呼吸が合う関係性。京マチ子さんあたりをモデルにしているのだろうか。日本映画の活気溢れる勢いを感じます。そして、その人が語る言葉に元気をもらい、その人の人生に深い感動をおぼえます。吉田さんによる映画シーンの描写力、出身地長崎への思いにも心打つものがあります。その人は、横道世之助に並ぶ、心持ちの美しい人だった。その人は生きざまの美しい女性だった。
2022/03/17
まちゃ
美しく温かな余韻の残る物語でした。良かったです。80代の往年の名女優”和楽京子”こと、鈴さんと、社会に馴染めずに大学院に戻った岡田一心との半年ばかりの心の触れ合い。凛とした梅のような女性、鈴さんとの交流によって、一心が得た大切なものは。いま映像化するとしたら、鈴さんは、"草笛光子さん"かな。
2022/03/18
ウッディ
往年の大女優、和楽京子(鈴さん)の荷物整理のバイトを始めることになった一心。映画全盛期にデビューし、世界的な女優となった彼女の偉業と親友との思い出。一心の失恋と幼くして亡くなった妹の存在、そして恋愛感情と呼ぶには淡すぎる鈴さんへの想いが丁寧に描かれていました。哀しさを秘めながら華やかさに彩られた過去が、年齢を超えた鈴さんの魅力の形づくり、素敵な女性であることが伝わってきます。フィクションだけど、強いて言えば、一番近い女優は吉永小百合さんなのかなぁ?タイトルや装丁からの印象とは違っていたが、面白かったです。
2022/12/22
感想・レビューをもっと見る