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ふたつの波紋

ふたつの波紋

ふたつの波紋

作家
伊藤比呂美
町田康
出版社
文藝春秋
発売日
2022-02-08
ISBN
9784163914985
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ふたつの波紋 / 感想・レビュー

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starbro

日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集08)でコラボした二人の作家の対談集。伊藤 比呂美、3作目、町田 康は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。伊藤 比呂美が、真面目に論理的に文学・作家を語り、町田 康が感性で文学・作家を斬る対談集のため、嚙み合いませんが、絶妙に波紋が広がり、興味深く面白い内容でした。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163914985

2022/02/20

アキ

町田康と伊藤比呂美の対談は、予定調和的なものが全くなく、お互い自分の言いたいことを主張しているが、同じ言葉を扱う職業でも、詩人、ミュージシャン、朗読、小説、翻訳という表現方法によるのか、お互いのそもそもの立脚点によるのか不明だが、その違いが興味深かった。町田氏が僕の文体ではないと言い切った「宇治拾遺物語」を読んでみたい。河出書房新社『日本文学全集08』では、「語りもの」を意識している伊藤比呂美の「日本霊異記」「発心集」も読めるしな。伊藤氏の「言葉は植物のように、私たちのまわりに繁殖する」はらしい表現。

2022/05/27

ネギっ子gen

山頭火・中也・太宰や古典文学について語り合うも、“話せば話すほど、二人の違いが浮き彫りになる対談”(by町田)。【歌詞の表現としての難しさ】 町田:<歌詞を書く場合は、自分の書きたいようには言葉を書けないということです。音楽に乗ること、歌われること、音として聴かれることを念頭に書かなければならないから。歌詞というのは、まず最初に、歌う人間が「歌いたい」と思うようなものじゃなきゃいけない。/音として発せられたところがすべてなので、いくら文章として最高でも、それが音として最高の表現にならないと意味がない>。⇒

2023/05/08

スリカータ

こんなに相手におもねることなく持論をぶつけ合う対談を初めて読んだ。伊藤さんが町田さんに追い詰められて苦し紛れな発言があるように感じた一方で、町田さんも古典翻訳の「カード類」に関しては、話題をすり替えてかわそうとしたが伊藤さんの追求を逃れきれない。根本からスタイルが違うお二人が、それぞれ魅力のある作品を重ねてお互いのリスペクトを持ちつつ、1ミリも妥協しない姿勢が面白い。これをライブで聴いたら、リスナーはハラハラするだろう。因みに宇治拾遺物語の町田訳は、抱腹絶倒の面白さ。未読の方はご一読をお勧めします。

2022/06/15

kuukazoo

面白かった!「語り」「文体」で共通点の多い2人かと思いきや、話せば話すほど食い違いまくるやり取りのスリリングなこと。町田康は「自分」まみれで内向きな現代詩に否定的で、自身の文体など持たないと言い切り、しかし対話の糸を決して切らず気づきを得ようとする(転んでもただでは起きない!)伊藤比呂美の忍耐力に感服であった。詩歌に改めて向き合うことの助けになったり朗読などパフォーマンス関連の話は踊りにも通じるものがある。山頭火や中也や太宰、また古典の現代語訳についての話は楽しく、お二人が訳した古典作品も読んでみたい。

2023/03/11

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