スタッフロール
スタッフロール / 感想・レビュー
starbro
深緑 野分、新作中心に読んでいる作家です。アメリカ、ハリウッド映画界の特殊造形師の物語、本書でスタッフロールと言う言葉を憶えました。スタッフロールにクレジットされた作品がヒットしたら、製作者冥利につきるんでしょうね。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163915180
2022/05/19
旅するランナー
特撮映画好きにはたまらない一冊。特殊造形アーティストとCGクリエイター、違う世代の二人の女性を描くことにより、映像技術の変遷を見ることができます。「2001年宇宙の旅」から「スターウォーズ」、そして1980年代のスペシャル·エフェクト黄金時代にワクワク。また「創造主(クリエイター)までもが実現不可能だと思い込んでいる想像を、スクリーン上に映し出すことができる。CGは可能性を司る守護神だろう」というセリフにも納得です。映画に夢を見続けられることに感謝。僕もスタッフロールは最後まで敬意を込めて見る派です。
2022/10/22
パトラッシュ
深緑野分は「悪が書けない作家」なのか。戦場を舞台にした過去作品でも、自覚的な悪や他者を平然と犠牲にする悪は描かれない。マチルダを筆頭にリーヴ、ベン、モーリーン、ヴィヴは皆映画に魅せられ、魂を奪われて自分も制作に参加したいと願い、特殊造形師やアニメーターの道に進んだ。しかし誰もがよかれと思ってしたことが衝突し、混乱や誤解を生じ、錯誤と後悔を残してしまった。ある映画のリメイクを巡り英米両国で30年越しのドラマを展開させる小説の構成力は見事だが、そこに悪や憎悪や狂気がないのでは予定調和な結末が見えてしまうのだ。
2022/05/11
まちゃ
'80年代にLAで映画界に名を残すために奮闘した特殊造形師、マチルダ・セジウィック。現代のロンドンでCGクリエイターとして葛藤するヴィヴィアン・メリル。特殊効果という”魔法”で映画に”夢”を与えることに人生を賭けた二人のクリエーターの物語。何かを生み出すことの楽しさ、不安や葛藤、そして喜びに共感しました。世の中の少なくない人が彼女たちと同じような思いで仕事に向き合っているのではないでしょうか。楽しめました。ただ、本作は著者の伝えたい思いや言葉が多いな、もう少し絞っても良かったのでは、と思いました。
2022/09/17
のぶ
時代の変遷のなかで、映画の表舞台には出ないクリエイターたち、特に手仕事で特殊効果を生み出していた特殊造形師たちの葛藤を描いた物語。主人公には二人の人物が登場する。戦後ハリウッドの映画界で奮闘した特殊造形師のマチルダと、自身の才能を信じ切れず葛藤する、現代ロンドンのCGクリエイター、ヴィヴィアン。本作では特殊撮影の歴史や、内面がとても詳細に描かれている。しかしその分人間描写が薄く、小説の面白味には欠けると感じた。映画の最後で流されるエンドロールに自分の名前を追う姿には、映画に対しての情熱が籠っていた。
2022/04/24
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