中野京子と読み解く フェルメールとオランダ黄金時代
中野京子と読み解く フェルメールとオランダ黄金時代 / 感想・レビュー
アキ
1581年から1687年までのオランダ黄金時代。なんとその頃オランダには2000人の画家がいて500万点以上の絵画が流通したとのこと。他のヨーロッパの国々と異なり、庶民が絵画を飾り、プロテスタントのため識字率が高く、市民の意識も高かった。東インド会社により経済だけでなく、東方の(日本を含む)珍しい品物も多く、造船、治水、地図、医学などの分野で先進国であった。風景画が生まれたのはオランダで、風俗画も多く、著者の語り口や切り口も相変わらず面白い。次回作は「クリムトと黄昏のハプスブルグ」だそうで、今から楽しみ。
2022/06/26
コットン
フェルメールや彼と同じ時代のオランダ絵画の紹介本で随所に著者ならではの丁重な記述がある。フェルメールの話が面白いが、知らない画家の紹介も興味を引く。中でも病弱で28歳の若さで夭折したパウルス・ポッテルの22歳で描いた『雄牛』は縦2.3m横3.4mの大作ながらどっしりしているのに切なげで哲学的でもある。
2024/03/22
keroppi
フェルメールを中心に17世紀のオランダ絵画を取り上げ、オランダ黄金時代を解説する。その当時、貴族や協会の占有物であった絵画がオランダでは庶民の家にも普通に飾られていたという。庶民のための芸術として風景や風俗が描かれていた。その絵画からの中野さん流の深読みが楽しめる。フェルメールが娼婦の絵を描いていたのも初めて知ったが、「父の訓戒」というタイトルのボルフの絵が実は娼館の絵だというのも驚きだ。ひとつひとつの絵が解説によって人間味を帯びてくる。
2022/07/09
読特
英中韓仏伊西…、語学学習者の数。蘭語は果たして何番目?アムステルダム以外の都市もわからない。現代日本人にとってこの国の存在は大きくない。江戸時代の貿易相手。唯一意識された欧州の国。……17世紀の地理学者が丹前を着ている。貴重品だったという。チューリップバブルがはじけたのも17世紀。現代日本とは違い、その後の長い不況はなかった。黄金時代の100年間。小さな絵画が庶民に流通。フェルメールにレンブラント。優れた画家が多かった。……パーツ探しのクイズ。見つけられずに、行ったり来たり。しっかりと絵の記憶を刻む。
2022/07/10
Nat
図書館本。フェルメールの絵を中心としながらオランダの黄金時代を解説。フェルメール以外にも他の作品も多くとりあげている。チューリップバブルを皮肉った「チューリップ・マニア」が面白い。オランダの黄金時代の変遷がよくわかった。シリーズの次作「クリムトと黄昏のハプスブルク」も楽しみ。
2022/11/23
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