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ぼくらに嘘がひとつだけ

ぼくらに嘘がひとつだけ

ぼくらに嘘がひとつだけ

作家
綾崎隼
出版社
文藝春秋
発売日
2022-07-25
ISBN
9784163915685
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ぼくらに嘘がひとつだけ / 感想・レビュー

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hiace9000

熾烈な勝負、勝ち上がりと生き残りをかけた棋界の知られざる内幕が舞台。そこで生き抜く棋士、夢追い挑む少年、夢破れ去る棋士達を軸に、彼・彼女らの執念や嫉妬にミステリー要素も絡め描く作品。作者が描こうとしたテーマは読み手でいかようにも解釈できそう。親子の確執、勝負と友情、境遇への怨嗟がもたらす凶行、あるいは終盤まで読み手を ? で引っ張る、二重底のミステリー。楽しめる要素は多々あり。帯の惹句「才能を決めるのは遺伝子か?環境か?」は確かに目を惹く。しかしこれが本書のテーマではないことだけは、間違いないだろう。

2023/04/15

ma-bo

新生児の取り違え(いや、すり替えだと思うのだが…)疑惑と、元女流棋士の母親二人、エリート棋士の父親、ライバル関係の少年二人、過酷な棋士の勝負の世界を織り交ぜた物語。「才能は遺伝子か?、環境か?」そして取り違え問題で良く議論される「産みの親か?育ての親か?」感想が難しい…僕らに嘘がひとつだけ。題名の意味が最後に分かる…。プロ棋士になる為の厳しさや将棋界のシステムを知る事が出来る作品でもありました。

2022/11/12

mike

才能は遺伝子なのか、それとも環境によって生まれるのか?そして長きに渡って築き上げた親子の絆は血縁の有無で崩壊してしまうのか?産院での取り違い疑惑をベースに話は展開する。落ちこぼれ女流棋士睦美、棋士である父のエリート教育に反発する厚仁、そしてその息子の天才棋士京介。彼等の視点からの話で物語は構成されている。話は二転三転して真実がなかなか見えないが、最後にようやく表題にある嘘が何故生まれたのかを知り、物語のテーマの答えが見える。魂を賭けた嘘に込められた切なる思い。そういうことだったのか・・・

2022/11/07

シャコタンブルー

藤井竜王が彗星の如く登場してから将棋を見始め、プロ棋士達のエピソードや将棋に纏わる本も読むようになった。だから登場人物の一人一人に対して有名棋士達をモデルとして思い浮かべて楽しく読んだ。日本中の天才達が集まる場所それが奨励会だ。ここでは純粋に成績だけでプロになれる天才とそれ以外の凡人に振り分けられる。非情で妥協なき世界だ。だからこそ、その一手一手に痺れ感動する。同じ病院で出生した二人の少年に襲いかかる疑惑の数々。将棋一家に生まれた宿命と絶望。光と陰。将棋に捧げる命と家族の血縁を描いた力作を堪能した。

2022/09/14

sayuri

自慢じゃないけど将棋の事は一切分からない。そんな私でも問題なく読めた。エリート棋士の父を持つ長瀬京介と、落ちこぼれ女流棋士の息子・朝比奈千明。プロ棋士を目指し、奨励会の階段を駆け上がる二人の天才少年を軸に物語は展開する。同じ病院で、一日違いで生まれた二人に生じた出生時の取り違え疑惑。犯人は早い段階で予想が付くが、それによって「才能を決めるのは、遺伝子か環境か?」のテーマが活きて来る。親のエゴで振り回されたにも関わらず、その親を慕い嘘をつく子に胸が熱くなる。ミステリ要素を絡めながら家族小説としても楽しめた。

2022/08/28

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