私たちはAIを信頼できるか
私たちはAIを信頼できるか / 感想・レビュー
けんとまん1007
ある時期を境にして、AIの2文字が氾濫し始めた。それまで、ITと言っていたのが急にだ。多少なりとも、その周辺にいた者として、違和感が大きく、今はさらに違和感が大きくなっている。AIとさえ言っていればいいような風潮で、誰もが、何もわかっていない。それを前提にして、この本を読むと共感できることが多い。改めて、言葉・表現・理解・感情ということを考える。そしてタイトルにある信頼の2文字。AIを考えることは、人間とは何かを考えることでもあるてゃ、その通りだと思う。もっと、地に足のついた思考が必要だ。
2022/12/25
tamami
それぞれ社会学者、言語学者、ゲームAI開発者である三人が、ゲーム作家、編集者の二人からAIの現在と将来、人類への貢献と課題といったテーマでインタビューを受け、私たちとAIとの付き合い方を考える。AIが形作る未来の世界、人類とAIとの関わりがもたらす可能性と課題等々について、大変に示唆を受ける。いわゆるゲーム脳など、AIがもたらす危険性が言われているが、社会学者の大澤さんの「AIは人間のように考えていない。意識的に抵抗しなければ、データ教に呑み込まれてしまう」との指摘は、人間の心の本質によるものだけに重い。
2022/10/13
ころこ
吉川・山本コンビによる三宅・川添・大澤とオールスターのような座組の対談と座談会。AIができることを論じるのかと思いきや、ここで到達しているのは、例えばAIが小説を書けるようになると、そもそも「良い小説とは何か?」という問いが人間の側に改めて生まれるようなことだ。AIによって人間の上澄みだけを掬っている「人間そっくり」をつくり出すことで、はじめてその不気味さ、問題点に気付くことができる。例えば野球の審判を完全にAIにしようという議論がある。ビデオ判定を補助的に使うようにAIを使うのならば賛成だが、全面的にA
2022/10/14
koji
突然、AIを多面的に考えたいという衝動が起きました。きっかけは日経新聞(10/21)に掲載されたシンポジウム『文学は未来の夢を見るか』の平野啓一郎さんと池澤春菜さんの対談。AIが文学や社会全体に及ぼす影響を語り、お二人の「未来を知るためにいま読んでおきたいお薦めの本」が3冊ずつ紹介されています。平野さん推薦の本書がその1冊。これが大当たり。ウェブサイト「哲学の劇場」を主宰する山本、吉川両氏が、三宅陽一郎、川添愛、大澤真幸3氏と、AIと人間を縦横無尽に語り尽くしますが、箴言のオンパレードです(コメント欄へ)
2024/11/08
nbhd
2022年の本。文学界に掲載されたAI特集を書籍化したもの。人工知能と人文知を結ぶような内容の良い本なのだけれど、どこか頭でっかちなかんじもした。人工知能を学ぶとすれば、概説書を読むよりも多少でも技術書を読んで、まずは「AIはコンピュータプログラムに過ぎないこと」を身に染めたほうがいいのでは、と思うようになった。やはり、人工知能への人文的な過剰な接近は、頭でっかちになっちゃうから良くない良くない、と肝に銘じた。
2024/03/23
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