なんとかしなくちゃ。 青雲編
なんとかしなくちゃ。 青雲編 / 感想・レビュー
starbro
恩田 陸は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者の最新作は、半分私小説でしょうか、生まれながらの商売人、梯結子の問題解決青春譚でした。続編も期待ですが、「チョコレートコスモス」の前科があるので、速やかに執筆して欲しい所です。 https://books.bunshun.jp/articles/-/7572?ud_book
2022/12/02
パトラッシュ
ヤングケアラーやDVが主題の小説を読んできて鬱になりそうだったが、そんな精神衛生上よろしくない気分を吹き飛ばしてくれた。不器用で愚かな人間の身動き取れなくなる絶望的な話こそシリアスで文学的と思っている作家が多いようだが、どんなに苦しい事態も梯結子みたいに「なんとかしなくちゃ」と生きやすくする工夫を怠らないポジティブな姿こそ輝いている。今はまだ自分の周囲の「キモチワルイ」だけに対処している結子が、不況や震災に苦しむ日本を何とかしてくれる続編を想像してしまう「痛快明朗現代小説」こそ恩田マジックの真骨頂なのだ。
2022/12/02
旅するランナー
名は体を表す。梯結子の問題解決及びその調達人生。教えの基本は「顔の広さと観察力 by 大脱走のジェームズ·ガーナー」。キモチワルイをなんとかしちゃう、前向きで気持ちいい行動がテンポ良く描かれます。「横道世之介」の力の抜けたテイストは残しつつ、仲間たちとのより真っ当な繋がりを感じます。しかし、まさかの続編へ。恩田陸は怠を表す。ということがないように期待してます。
2023/03/16
紅はこべ
読みながら、恩田流人生哲学を語る恩田版朝ドラ風女の人生記かと思っていたら、最後の方に朝ドラへの言及があって驚いた。最近流行りの異世界転生ラノベって、剣と魔法の戦いだけでなく、政治、商売、外交、農業、医学薬学などテーマが広がっているが、恩田陸の本作も文章力があるラノベって感じだな。作中ちょくちょく顔を出す語り手の私って、恩田さん本人と考えていいんだろうか。道化の華的手法かな。続編決定ととらえていいんだね。恩田さんの恋愛ものも読みたいんだけど、この作ではあまり期待できないみたいね。
2023/03/22
のぶ
青春満載の面白い小説だった。主人公は大阪で代々続く海産物問屋の息子を父に、東京の老舗和菓子屋の娘を母に持つ、梯結子。四人兄妹の末っ子として生を受ける。前半部では周囲の大人達や同級生達に只者ではない感を抱かせながら成長していく姿が描かれる。やがて大学に進学して、城郭愛好研究会に所属し多くの友人と楽しい学生生活を送る。結子の真っ直ぐでさわやかな性格が読んでいて気持ちが良かった。本作では1970年の誕生から1993年までが描かれているが、終わり方が唐突。青雲編とあるので続編を期待して待ちたい。
2022/11/20
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