復刻版 ファイヤー! 上
復刻版 ファイヤー! 上 / 感想・レビュー
ぐうぐう
名作は軽々と時代を超える。水野英子の代表作と言えば『ファイヤー!』であり、それは重々承知していたものの、これまで読み機会に恵まれなかった(帯にもあるように、前回の復刻から23年間重版がなかったことも大きな理由のひとつだ)。めでたく文藝春秋から刊行された、この復刻版で初めて『ファイヤー!』に触れたのだが、冒頭の表現を実感させられた。1960年代のアメリカを舞台に、ファイヤー・ウルフとの出会いにより音楽に目覚めるアロンを主人公に、ロックバンド「ファイヤー」の生き様を描く。(つづく)
2023/02/18
道楽モン
念願の水野英子作品を読む。1969年〜1971年というロックの全盛期に描かれた作品で、噂に違わぬ傑作。少女漫画の文法から著しく逸脱しており、当時としては画期的どころか、商業的な思惑よりも、表現としての芸術性を優先した奇跡的な存在なのだろう。ピンク・フロイドへの傾倒ぶりが、シド・バレットを偲ばせるラストシーンへとつながっているかのようだ。愛と革命の標榜が、まだロックというカルチャーに希望を見出せた時代に、熱量をそのまま作品に封じ込めている様で、ポテンシャルは半端なく高い。(続く)
2023/04/20
遠い日
漫画にもロックにも全く興味のない若き日々だったので、『ファイヤー!』の立ち位置が今ひとつ飲み込めないまま読み始める。アロンの型破りとしか言いようのない音楽への激しい飢餓感と純粋すぎるメンタルの乖離にどぎまぎしながら、呑み込まれるようにして一気読み。憧れを身の裡に落とし込むまでのアロンの軌跡は痛々しいが、眩しい。
2023/05/30
たけのこ
バンドマンガの始祖とも言われる今作。 少年院のようなところに収容されて、憧れの人を見つけ、歌うようになり、バンドメンバーを見つけ……と、かなりハイペースというか展開がはやい。そして都度都度気になる人とかも。これが先駆者とは思えないバンド物の王道っぷり。
2024/09/11
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