復刻版 ファイヤー! 下
復刻版 ファイヤー! 下 / 感想・レビュー
ぐうぐう
ロックバンド「ファイヤー」は大成功を収める。しかし、人気が高まれば高まるほど、アロンの胸の内に芽生えた疑問との乖離が激しくなっていく。音楽にウルフを、女性に母を求めるアロンは、だからこそ社会と、歴史と対峙せざるを得なくなる。『ファイヤー!』がアメリカンドリームを描く漫画ではなく、ロック史の中に水野英子の理想を注ぐ物語である以上、破滅は避けられない。なぜならウルフも母も、アロンにとっては純粋さの象徴であり、それを貫くことの辛さを、世界を旅し、本物のロッカー達を目の当たりにし、(つづく)
2023/02/19
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
目を疑った。令和のこの世にこの作品が??文芸春秋えらいぞ、褒めてつかわす。自分の構成要素にロックがあると思うものは読むべし。読んで意味わからんと思う奴は(奴、て!)ロックがないのだと思うべし。
2023/02/18
道楽モン
この後にロックは商業主義へと流され、時代もそれを容認して魔法は崩壊していくのである。近年、ロック・バンドを取り上げた『Beck』などと比較すれば、本作の方が遥かに純粋にロックという音楽の「諸刃の刃」を意識して描かれていることが分かる。生活の糧vs.自己表現という苦悩を、1969年の時点で描くとは、水野英子恐るべし。ニルバーナのカート・コベインにこの作品を読ませたかった。
2023/04/20
遠い日
上巻に比するに、より以上に濃い世界観に酔わされる。ロックが金になることを理解した音楽業界の面々の黒い腹積もり。それに流されまい、いや、抜け出そうと必死で抵抗するアロン。金で買えないアートをやるのだという決意と意気込みは、あまりにも過酷な試練をアロンに課した。芸術の二律背反、それをずばりと骨太に描き切った下巻の熱量たるや……!孤独のうちに高みに登ったアロンのただひとりの世界は、茫漠たる荒野のままだ。
2023/05/30
たけのこ
というわけでの下巻です。 いつしか一流バンドと呼ばれるようになるものの、ライバルには追い立てられ、商業主義のなかで本当にそれでいいのかそんな思いにさいなまれる…… ロックバンドという意のままにならない存在を描いた大きなうねりのようなストーリー。最高でした。
2024/09/24
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