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日暮れのあと

日暮れのあと

日暮れのあと

作家
小池真理子
出版社
文藝春秋
発売日
2023-06-09
ISBN
9784163917047
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日暮れのあと / 感想・レビュー

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starbro

小池 真理子は、新作を数十年に渡ってコンスタントに読んでいる作家です。本書は、濃密な歳の差恋愛短篇集、オススメは『アネモネ』&『白い月』&表題作『日暮れのあと』です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163917047

2023/07/12

のぶ

7篇の短編が収められた作品集。そのうち半数は死から始まる物語。小池さんの昔の本からはずいぶん違っているような気がした。王道の恋愛もの、ミステリー・サスペンスふうの作品ではないし、枯れたというかちょっと肩透かしを食らったような感覚が無くもない。それでもどの作品も独特の雰囲気を醸していて、つまらないとかいう感じはない。表題作は最後に入っているが、常識では考えつかないストーリーだった。個人的には「アネモネ」と「白い月」がお気に入りだが、読み手によって好きな話が分かれる本だと思う。こんな小池作品もありだと思う。

2023/06/21

ケンイチミズバ

じめっとした感覚かな。怪談もあるし。年齢の差を超えてでも、恥ずかしいけれど仕方のない性の発露、昭和的な営みの暗さが熟練の筆致で描かれています。あまり好みではありませんでしたが。夜の庭の植物がもつ湿度や人間の肌の質感の描写などみごと。至る所に悲しみや死があり、光の裏にできる暗い影が見てはいけないモノを見るような読書にさせます。アネモネは罪を犯してしまうどうしようもない人間と、どうしようもない出来事のあまりにも対局にある純真無垢な花屋の女性の存在が眩しいだけにより救いようのなさが際立ちます。上手いなとは思う。

2023/07/12

とん大西

小池作品の既読は少ないですが、この気だるさ…好きです。静寂とざわめきが絡みつく7つの短編は、どれも甲乙つけがたくココロの端っこあたりを微妙に触ってくる。ホラーテイストで孤独さがしみてくる「喪中の客」や亡き叔母への慕情がほのかに哀しい「ミソサザイ」が印象的。往年の恋が儚くも健気な「微笑み」なんかは据わりが良くて好みです。

2023/08/13

ちゃちゃ

円熟の域に達した小池さんの筆が冴える7話の短編は、人間の生と性、死を描いて粒ぞろいだ。自らの意思ではどうにもできない運命に絡め取られ、時には内なる情動に突き動かされて、儘ならぬ生を受け入れざるを得なかった人生。それを人は愚かだというのだろうか。「過ぎてみれば、全部、どうってことはなかった」顧みて肯定できたとしても、その渦中で人はもがき苦しみ悩み傷つく。悔いや淋しさを抱えつつ救いを求めて人は生き、そして逝く。人生の哀歓を描き、ほろ苦く、切ない余韻が残る短編集。特に『白い月』『微笑み』『日暮れのあと』が好み。

2023/10/14

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