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元気で大きいアメリカの赤ちゃん

元気で大きいアメリカの赤ちゃん

元気で大きいアメリカの赤ちゃん

作家
ジュディ・バドニッツ
Judy Budnitz
岸本佐知子
出版社
文藝春秋
発売日
2015-02-07
ISBN
9784163942100
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元気で大きいアメリカの赤ちゃん / 感想・レビュー

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bianca

痛烈に皮肉が効いた短編集。この妄想世界は、訳者の岸本さんとピッタリ合っているように思う。しかしイカれた妄想で終わらせることが出来るだろうか?ブルッとくるような人間の暗部(特に女性特有の)は、ホルモンに操作されているのか、遺伝子に組み込まれているのか分からないが、誰にでも少なからず心当たりがあるのでは?子供を身籠り、育てる母の強迫観念にも似たエピソードには、とても共感。これは男性には理解不能な世界かも。貧困・暴力・人種差別・戦時下…自分の住む世界では、お伽噺かもしれないが、これは誰かの日常なのでは?

2015/07/18

HANA

いやはや、きつかった。「奇妙な味」の短編集に属するんだろうけど。戦場の医師がだんだんと奇妙なフェティシズムに染まった結果やセールスマンを次々に飼う話、母だけの島、永遠に到着しない両親等、ある意味幻想の領域に踏み込んだ作品は面白く読めたんだけど……。「ナディア」「象と少年」「水のなか」とかになるともうダメ。私やあなたの心の一番きつい部分を拡大鏡で見せつけられている気分になって、兎に角ダメージがでかい。善意の海で溺れそうな。ただ世界が善意で押し潰されそうな今日、必要なのはこの黒さではないかと思ったりもした。

2017/04/04

安南

シュールで奇想に満ちた物語でありながら、生理的な部分や感情に於いてはどの作品も怖いほどリアル。つかみ所のない軟体物に触れている気分で、気持ち悪いのに何時までもいじっていたいような…悪臭の中に懐かしさの源を嗅ぐような。どれもハイクオリティだが、『優しい切断』は白眉。病院に転用された戦時下の教会。毎日のように腕や脚の切断手術が行われ、シーツや包帯の上にはステンドグラスの窓を通して聖人や天使の姿が色とりどりに映される…。最初から最後まで強烈なイメージに悶え痺れた。森山良子の歌声も聞こえてくる …ザワワ〜

2015/02/28

ロア

毒をたっぷり含んだ12の物語りはどれもいびつで不気味でグロテスク。なのに、どこか滑稽で笑えてしまうのです。そこはかとなく漂うヒエロニムス・ボス感は、表紙と各話扉絵だけではありませんでした〜(* ̄∀ ̄)✳︎✳︎✳︎皆さんのレビューを拝見したところ、翻訳者が岸本さんなら間違いない!と、岸本さん目当てで読まれてる方多数。確かに私も「言葉のチョイスがほんわかコミカルで優しいなー、上手いなー」って読んでて感じたし、特に会話が良いと思ったよ。ちょっとこれから岸本さんにも注目していきたいと思います(*゚ω゚*)

2017/08/02

りつこ

面白い!岸本さんばかりが売れていて翻訳モノのファンとしては「このやろう」という気持ちになったりもするのだが、こんなヘンテコな小説が読めるのは岸本さんのおかげ。ありがたや~と手を合わせてしまう。女性らしい視点から我々の一番痛いところを突いてくるので、ぐわっ!となったり、ひーとのけぞったり。生理的に「まいった」と白旗をあげたくなるような作品が多いが、不快感よりも身につまされる感覚を味わう。不幸もタブーもものともしないようなハハの強さが潔い。「顔」「水のなか」が特に好き。

2015/03/04

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