丸谷才一批評集 第1巻
丸谷才一批評集 第1巻 / 感想・レビュー
Hiro
著者のエッセイを改めてきちんと読んでみたいと前々から思っていた。本書は日本文学の特徴を天皇を中心とする宮廷文化の伝統に求め、二十一もの勅撰和歌集に沿って文学史を構想することで、その固有の豊かさを明らかにする。さらに著者は記紀万葉から続く日本文学の伝統を軽んじた明治以降の自然主義や私小説の風潮を痛烈に批判しながら、独自に発達してきたかに見える日本文学が伝統を重んじる点で実は西欧20世紀のモダニズム文学とも相通じることを説明する。この、本書前半のエッセイは読み応え充分。後半の男泣きのエッセイも秀逸だ。
2020/06/22
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