松本清張全集 (13) 黒い福音
松本清張全集 (13) 黒い福音 / 感想・レビュー
Ted
'59-'60年発表。△'59年4月4日未明に発生した日本人スチュワーデス殺害事件に取材した長編小説。犯人はカソリック神父で39歳のベルギー人、ベルメルシュと分っていたが、敗戦国という当時の日本の地位の低さと、司直でも容易に手が出せないサレジオ会という外国の宗教団体という壁に阻まれ、結局迷宮入りした。小説ではこれを単なる痴情の縺れとせず、密輸に絡んだ陰謀説を取るが、清張の説明をただ一方的に読まされるような展開なので読み手が推理を楽しむ余地がなく興醒めする。題材は面白いのだが作品の質としてはデキがよくない。
2016/03/30
TAKAMURA
清張作品を多数読んでいるが、犯人が逃げおおせる、逮捕されないというのは、レアではないかと思う。つまり清張さんは、悪は通じないというものが底辺にあるのだと私は思っているし、異存はない。
2024/08/28
モッチ
★★★
2021/08/23
ソラ
イタリアに本部のあるサレジオ会の神父がスチュワーデス殺しの嫌疑をかけられたまま国外に逃亡したという話はカソリック教徒の間に密やかに語り継がれている。イタリアといえばバチカンのお膝元。著者がこの話をこの様な小説にしたことには驚いた。この神父は不法入国で日本にが来たそうだがサレジオ会でははじめから彼を利用するつもりだったのか、、、。神の威光のもとに布教のためなら何でも許されるのか、そんなことはありえない。カソリックの歴史にはおぞましいものもあるがこの事件もその一端を提示するものなのかもしれない。
2018/01/23
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