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風車祭

風車祭

風車祭

作家
池上永一
出版社
文藝春秋
発売日
1997-11-01
ISBN
9784166401406
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風車祭 / 感想・レビュー

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たまきら

沖縄のあの風が顔に感じられる、読んでいる間中そのことを思っていました。呪術的で時に呆れるほど世俗的な人物たちの描写に既視感をおぼえ、ずっとそれが何か悩み、読み終わる直前になって莫言のあの不思議な語り口調と似ているんだと思いました。自分たちが逃れることのできない血脈は、祝福であり呪いでもある。ぞっとしつつもおかしな、不思議な物語でした。

2020/10/02

田氏

阿呆学生が跳梁跋扈する京都(©森見登美彦)も大概だが、一方そのころ石垣島ではオバァと妖怪が暴れまわっていた。「だからよー(翻訳不可)」を合言葉にすべてをグレーゾーンに留め置く気風より出でた、八重山ファンタジー小説である。単純にエンターテイメントとして面白いのはもちろん、琉球のマブイ(魂)という概念が興味深い。ともすれば我々は、いま考えている自分自身こそを魂と定義しがちだが、ここでは、考え、悩み、死を恐れている我々はあくまで「身体」であり…とかあまり考えずに読むほうが「だからよー」精神に則っているとは思う。

2019/05/14

ちゃんぐ

やっと読み終えたというのが正直な感想。面白かったですよ。現実と幻想の間を行き来しつつ強烈なキャラクター達が織りなすどこか懐かしい物語・・・と鷹揚に構えて読んでいたら、ハッキリ言ってギャグマンガだった。沖縄の言葉や風俗に関する知識は称賛に値するが、作者が思いっきり楽しんで書いているのが分かる。三線の調べを抱きつつこの物語の中に永遠に浸っていたいと思う半面、一日にちょっとずつしか読めないというジレンマ。ヒストリアの方がまだ読みやすかった。それにしても島言葉はいいですね。どういう発音かは分かりませんが。。。

2018/07/28

マサキチ黒

迷作「シャングリ・ラ」から「テンペスト」へのコペルニクス的転回が個人的に謎だった池上さん。その前にコレがあったのか。と納得&大満足。今の池上さんなら三割は削れるだろう思い入れたっぷりの物語は作者の未完成な柔らかい部分を触る事のできた優越感で豚でもマブイでも相手にできる感慨に浸って嬉しい。ただ、この物語からは、日本へ愛想が尽きました感じがない。やっぱり鳩山がオキナワに与えた傷は大きいのだろう。池上さん興味あれば読むベシ◉‿◉

2021/01/09

すの

539ページ、上下二段を読むことはさすがに疲れた。決して読みにくい作品ではないのだが、濃密な沖縄の空気に触れ、それだけで疲れてしまうかのようになかなか捗らない読書であった。もちろん、それは悪いことではない。作家があとがきで触れる「物語」をまさに堪能させてもらった。最後に、あの世へ還るはずの少女の魂の行動を殊更、感動的に書いていない点がよい。たぶん感動的なクライマックスにできたのに。「だからよー」絶対つかいこなせないが、心に残る。

2009/12/14

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