精選女性随筆集 第九巻 須賀敦子
精選女性随筆集 第九巻 須賀敦子 / 感想・レビュー
emi
川上弘美さんが選んだ須賀敦子さん、というだけで期待が高まっていたのですが、期待通りだったなぁと思いました。須賀さんのエッセイは客観的な視点で綴られ、時や人を入れ替わり立ち替わり登場させ、そして大抵死で終わるので、概ねしっとりとした読後感がするなぁといつも個人的には思うのですが、そういう流れの中にはっとする一文がさりげなくあるところが魅力的です。「だれかが明りをともすと、家に夜が来た」なんて、すごく詩的だな。憧れには「努力したら手が届く」と「決して手に届かない崇高さ」の2つがある。須賀敦子さんはいつも後者だ
2016/05/28
あんこ
二年前に買って積読にしていたことを思い出し、読んだ。須賀敦子の文章は透明な水のようによく澄んでいる、と彼女の文章に触れるたびに思う。明らかな感情を明らかなことばで表しているわけではないのに、歩を止めて読まずにはいられない。イタリアの友人たち、そして日本の友人たちのことを、丁寧に思い出して紡いでいる。かつて居た人たちへの愛に溢れている彼女の文章だからこそ、時折胸が締めつけられるのだろう。
2014/08/10
くみ
川上弘美さんが選んだ「須賀敦子アンソロジー」 須賀さんの文章は淡々としている。それなのに読むときによって異なった印象を受ける。ある時は冷たく厳しく、ある時はとても情熱的で直情的。切なさとだんな様へ対する愛情。そして随筆なのに淡々としてるのに「それはその後どうなるの」と気持ちをかりたてられる。 「コルシア書店の仲間たち」「ユルスナールの靴」など読んでいきたいと思った。
2017/05/20
ふしぎ
少しふらふらしているところがあるけれどあなたは大丈夫、と敦子が言われる場面、大学4年で将来に不安が生じている自分にすごく響いた。自分の直観を信じて、人と出会ったり留学したり結婚したりした須賀敦子という人物に憧れた。人が亡くなるところを書いた、いくつかの文章がなぜだかすごく心に残った。
2016/07/30
miu
ページの隅から隅までみちみちと言葉が詰まっている。須賀敦子の文章は丁寧で厳かな感じがする。兵庫に住んでいたころのお話やイタリアに住んでいたころのお話。何歳でもどこにいても、感受性豊かに日々のことが綴られている。いつまでも色あせることのない随筆。
2024/11/01
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