70歳! 人と社会の老いの作法 (文春新書)
70歳! 人と社会の老いの作法 (文春新書) / 感想・レビュー
Cinejazz
戦後の日本が70歳を過ぎ、敗戦直後の平壌から引き揚げ「許されざる者として生き延びた悪人」と称する直木賞作家<五木寛之>氏と、認知症高齢者のためのグル-プホ-ム「むつみ庵」を運営する浄土真宗の僧侶で宗教学者の<釈徹宗>氏が、日本人の死生観や信仰心など、「人生80年」の時代に生き惑う現代人へのメッセ-ジを託した対談集。▷日本人は1週間のうちに3つの宗教を実践する。クリスマス、除夜の鐘、初詣▷「死ねば仏」は仏法にない。往生することと成仏することとは全く別物▷使用済み核燃料と人的資源(高齢者)の行方、など。
2022/08/02
2ndkt
親鸞を描いた小説家と浄土真宗本願寺派僧侶との対談。人はどのように老い、死の準備をしていくべきなのか。日本社会も戦後70年。青年期や壮年期とも異なる成熟し、体力も落ちてきたゆっくりとした時期。社会もまた、高度成長期と異なるあり方を求められている。ブッダも、親鸞も長く生きて死を迎えた。仏教や真宗の教えには、他の宗教と異なり、死を迎える時期に考えたこと、悟ったことが、かなり影響しているのではないかと。人や社会の老いの作法を考えるにあたって、死生感や宗教感の重要性を説く。最後は役割が期待されるお寺へのエールも。
2017/02/09
ことり
戦後70年は戦後民主主義が生まれて70年。人間なら老人だとする考え方は目新しい。人の寿命は延びたが、死者の寿命は短くなっているには少しさみしいような。地獄を見た五木さんの言葉は重いと思う。
2024/08/24
よし
付箋でいっぱになった。「老人」問題で一番ためになった。高齢社会で、どういきるべきか、その知恵に納得させられた。彼のエッセイをたくさん読みたくなった。「終わりなき老いの日常が延々と続いていく」「 啄木も藤村も80を過ぎればノスタロジーです」「 情報は意識の領域、物語は無意識の世界に作用」「他界のリアリティーー現実世界に陰影」「団塊の世代は、一番宗教から遠い」「 バリアフリーの家で暮らしても外へ出ると外は段差だらけ」
2022/10/25
tecchan
死を見つめてきた作家五木寛之と気鋭の宗教家釈徹宗が、戦後70歳となった日本において、70歳以降の老い、生き方、死生観について語り合う。お寺をソーシャル・キャピタル(社会資本)として活かせというのは、同感。
2020/08/17
感想・レビューをもっと見る