黄昏のストーム・シーディング (文春文庫 お 16-1)
黄昏のストーム・シーディング (文春文庫 お 16-1) / 感想・レビュー
大福
ファンタジーのようでファンタジーでもなく。観念的なようで、実はただ回りくどいだけだったり。翻訳調的会話のキザな感じは1989年という時代のせいか。主人公は結婚しているというが、家族の気配はない。現実離れした場所になぜかいてなぜか天気作りの修行をする。ストームシーディング(嵐の種まき)はなかなかいい。比喩のうまさはさすが。思弁的な会話を読み返してみたりするけれども、どこももう分かってるよと言いたくなる。なるべくいい所を取り出したいのだが、時代に淘汰された感が否めない。これがバブル期の小説ということなのか?
2013/06/20
メデスキ
安易に引き合いに出したくはないが、天気作りなんてネーミングをつけちまった上で、無菌豚なんての養豚していたりのファンタジーされちまうと、文章を含め春樹を想起しちまうし、何よりエンタメ的な観点でも比べてしまう。そして、春樹はストーリー作りはともかく、ファンタジー作家としては世界の冠に誠に残念ながら相応しいので、格落ちの印象を抱いてしまいますね。処女作も同時収録。
ミツ
第2回三島賞受賞。大岡信の息子。修飾語や比喩が普通じゃない、いい意味で変な文章。ただ表題作よりも「緑なす眠りの丘を」の方がその傾向が強くて好み。
2009/01/09
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