私の西域紀行 上 (文春文庫 104-29)
私の西域紀行 上 (文春文庫 104-29) / 感想・レビュー
HANA
西域というと戈壁砂漠や天山山脈、楼蘭、敦煌という言葉と共に尽くせぬ太古からの浪漫みたいなものが感じられる。本書は西域を舞台に数多の小説を書いてきた著者が、実際に訪れた旅行記である。訪ねているのが現在の新疆ウイグル自治区という事もあり、何が起きているか朧気ながら見えている現在と比較すると、何となくソ連や北朝鮮と通底する御用旅行という印象がぬぐい切れないが、それでも憧れの地を踏んだ著者の感激が文中から伝わってくるのは如何ともし難い。もやもやするな。國破山河在、素直に著者の目を通した西域の風土を楽しみたかった。
2021/11/19
ウイロウ
現在ではチベットと並んで、中国が抱える民族問題の最大の火種となっている新疆。先日も首府ウルムチ市内で爆破事件が発生し、死傷者が出たばかりだ。西域とは古来中国人が中国の西方諸国を呼んだ汎称であり、本来は東トルキスタン、すなわち今日の新疆ウイグル自治区を指す。本書は、学生時代から西域に魅せられてきた著者が、七十歳にして初めて現地に足を踏み入れ、以後五度にわたって西域地方(敦煌等も含む)を経廻った、旅の全記録である。長年憧れ続けたという土地だけに、著者の興奮と感動が文面からそのまま伝わってくるようだ。(下巻へ)
2014/05/05
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