新装版 坂の上の雲 (6) (文春文庫) (文春文庫 し 1-81)
新装版 坂の上の雲 (6) (文春文庫) (文春文庫 し 1-81) / 感想・レビュー
yoshida
黒溝台会戦からバルチック艦隊の航海、明石元二郎の大諜報まで。特筆すべきは明石元二郎の大諜報と思う。ロシアという専制国家は既に旧弊の時代。革命の気運が高まる中、燃え始めた革命の火を燃え上がらせたのは明石元二郎の功績が大きいと思う。実際には日本海海戦後もロシア陸軍は健在であり戦争継続は可能であった。一方、日本の財政は限界であった。それで講和が成立したのは外相小村寿太郎の力と、ロシアの革命気運の高まりにあると思う。日本は国家としてこの諜報活動の功績を伝えるべきであった。それにより後世の歴史も変わったと思うのだ。
2018/07/03
mitei
ロシア国内の革命前夜の雰囲気がすごいな。クロパトキンにもう少し能力があったら日本史が変わってたかもなぁ。
2010/01/27
koji
司馬さんは、この巻で一つの思考実験をします。もしロシアが日本に勝てば、国会議事堂は高等警察本部になり、日比谷公園にギリシア正教の大伽藍が造られ、横須賀・佐世保は一大軍港に、対馬には銃殺刑の執行所を設けられると占領の状況を描いてます。これは帝政ロシアの恐ろしさと同時に、現代の露ウ戦争につながる既視感を感じます。そう考えると、司馬さんが描いた当時の日本の軍人の規律、高潔さ、戦略眼、鷹揚さ、及び兵士の士気の高さは今の日本も救ったのですね。もう一つ本巻の明石元二郎の大諜報。ここは佐藤優さんの見解を聞きたい所です
2024/04/17
森林・米・畑
この巻では、明石元二郎大佐の諜報活動が中心に書かれていた。日露戦争の勝因のひとつは明石にあると言われるほど重要な働きだった。ロシアそのものに接して革命活動を扇動するというかなり危険を伴うものだったし、各方面から信用される人物でないと務まらないと思った。
2022/12/07
ケイ
ロシアの大艦隊はようやくインド洋を横切らんとす。東郷の艦隊は、日本での戦艦の修理・整備を終え、海戦に出発。陸軍部隊は、五つに分かれ、クロパトキン率いるロシア軍と退治していこうとする。この巻では、戦闘場面はほとんどなく、日露の主要な人々や艦隊の程度の描写が多い。福岡藩出身の明石の行った諜報活動が極めて興味深い。そうだ、ロシアはフィンランドを統治していて、スウェーデンはロシアと国境を接していたのだ。そして、ポーランドのロシアへの憎悪。ロシア本国から逃げてきた人。彼らを味方につけることはなるほど必要であった
2015/02/08
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