新装版 西海道談綺 (4) (文春文庫) (文春文庫 ま 1-79)
新装版 西海道談綺 (4) (文春文庫) (文春文庫 ま 1-79) / 感想・レビュー
パトラッシュ
(承前)忘れかけていた過去に脅され、恵之助は単身敵陣地へ赴くのを余儀なくされる。犬神宗族との呪術競べも山伏が勝利して絶体絶命かと思われた瞬間、誰も予想しなかった男の妄執が一切をひっくり返す。一方おえんも正体を現したお島の狂気に殺されかけるが、間一髪で何者かに救われる。追い詰められた隠し金山の一味が鉱山もろとも自爆して果てるラストまで、ストーリーテラー清張の本領発揮で目が離せない。江戸時代の九州が舞台ながら、いわば警察の潜入捜査員と官僚組織をも蝕むマフィアとの争闘を描くドラマは文字通りの大団円を迎えるのだ。
2023/07/13
旗本多忙
久し振りに大長篇を読み終えた(笑)伝奇、時代劇、推理、清張が好きな方には満足請け合いだ。わけあって女房と上司を殺して逐電した主人公恵之助が、江戸城表坊主の宗全の命を受け九州日田の隠し金山の不正を暴くというスジだ。代官役人や宇佐石体権現の山伏、金山の堀師甚兵衛、恵之助配下の喜助、江戸芸者のおえんなどを巻き込み、誰が悪党なのか善悪のつかない騙しあいの展開で最後の最後まで楽しめ、修験道と神道の呪術争いも凄い。最後に堀師の甚兵衛の行動がうるっと来た。幸か不幸か、向井も良い味を出していて、欠かせない存在である。
2023/06/09
キムチ
奇妙な山伏一味と金山と・・この舞台設定だけで4巻もドキドキ。長さを感じない。現代で読んでいるという事を忘れさせる非日常性。まさに伝奇面目躍如。恵之介の危機に、一人、はらはら。
さっと
最終巻、一気に読んだ。どの男も色狂いになっていい加減にせいやっと思っていたが、本筋のラストはまぁ、おさまるところにおさまったので良しとしよう。呪術合戦は、それこそ、史実に沿った積み重ねをしておいて、最後の最後、をいをい、という感じではあったが、それもご愛嬌。さて、それにしても、伝奇小説の着想にはいつも感心させられる。巻末の「あとがき」がわりに紀行文があるのだが、明治期になって発見された金山と、一奉行の不幸な最期をつきあわせて、こうも壮大な物語ができあがるものかね。さすがは国民作家。おそれいりました。
2013/09/29
KAZ
とても面白い。怖いし、笑えるし。清張氏の描く女性の怖さはぞっとする。二人ともとっても怖い。でも、この最期はナンなんだろう。どうしてきちんとエピローグを書かなかったんだろうか?余韻を残すため、読者の想像力に任せる?でも、違うでしょ、この小説は。枚数が足らなかったとも思えない。だって、一番の盛り上がりどころで延々梵語の解釈をしてるんだから。ともかくストレスたまりました。大作で読むのに時間をかけただけに。
2009/12/02
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