暗い血の旋舞 (文春文庫 ま 1-80)
暗い血の旋舞 (文春文庫 ま 1-80) / 感想・レビュー
エドワード
明治時代、一人の日本人女性がオーストリア駐日公使の妻となり渡欧した。クーデンホフ・カレルギー・ミツコである。乏しい史料を追って彼女の真の姿に迫る。彼女の生きたオーストリアはハプスブルク帝国の黄昏だ。<汝、婚姻せよ>の家訓に従って版図を広げて来た帝国。しかし何百年にわたる婚姻は暗い血の旋舞を生み出す。後半は皇妃エリザベート、ルドルフ、フェルディナンド等の悲劇に話題が移っていく。二十世紀末、1997年にウィーンとプラハを訪れた時、ともに音楽の都の賑わいの裡に、西欧とは異なるメランコリックな美しさを湛えていた。
2014/09/03
イータン
資料を客観的に読み解こうとする努力にもかかわらず、解釈は偏見と一般論に終始している。小説の体をなしておらず、無論、論文とも言えない。著者のメモの域を出ていない。
2009/11/07
トマシーナ
クーデンホーフ光子の本は木村毅の著作を読んでいるが、それとは違って光子を追いながらもその時代のハプスブルグ帝国の終焉を探索している。奇しくもそういう時代にヨーロッパに嫁いだ光子は幸せだったのだろうかという疑問を持つ。華やかなオーストリアの影にハンガリーやチェコの風土や民族ドイツとの関係といった複雑な要素が第一次大戦を誘発したことにも触れられていて、さすが清張、そんなところにも言及するのかと新たな発見。惜しいのは最後のまとめとして、もう少し光子の後半生にも切り込んで欲しかった。
2015/12/20
ピコ
読みながら世界史を嫌いになった高校時代を思い出した。世界史に出てくる人物の名前、人物の相関関係、国の名前の変遷、地理等々覚えられないし、理解できない。この小説もそんな感じであったが、意地で読み終えた。私の読解力の無さだがホンテック家とクーデンホーフ家の関わりは???
2013/03/18
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