宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇コレクション 下 (文春文庫 ま 1-96)
宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇コレクション 下 (文春文庫 ま 1-96) / 感想・レビュー
ふじさん
久しぶりの再読だが、やはり面白い。宮部みゆきが選んだ松本清張の傑作短編の最終巻。昭和史の謎に精力的に取り組んだ清張が、権力に翻弄され人間を見事に描いた「帝銀事件の謎」「鴉」は読み応え十分。特に、「帝銀の謎」は、今回読んでも驚きの連続、清張の識見の高さに脱帽だ。「生けるパスカル」は、少し難しく読み易くはないが、彼の思いが強く感じられて面白かった。「骨壺の風景」「火の記憶」は、しんみりとした味わいのある作品で良かった。「支払い過ぎた縁談」「西郷札」「菊枕」も、違った趣があり、読めた。清張を存分に堪能できた。
2024/10/31
おか
上 中巻と同じで 宮部さんの前口上が まず良い( ◠‿◠ )そして 今回は松本清張賞を受賞された 山本兼一氏、森福都氏、岩井三四二氏、横山秀夫氏が清張作品のどれが好きかという質問への回答もとっても面白い( ◠‿◠ )そして 本家本元の松本清張作品 は流石の宮部さんチョイスです。最後に出てきた「西郷札」「菊枕」「火の記憶」は やっぱり好きな作品です*\(^o^)/*
2019/02/22
佐島楓
「生けるパスカル」の主人公の身勝手さと物語当初からの伏線が凄絶。清張作品の男性はどうしてこうも女性にだらしないひとが多いのだろう。もちろん男性を手玉に取る女性も登場する場合もあるので一概には言えないのだが、この短編には絶句してしまった。この作品集は清張初心者にとてもおすすめです。
2015/03/06
geshi
『支払いすぎた縁談』ラスト2行の石包丁に込められた激情の味わい。『生けるパスカル』矢沢に同情する夫たちに向けての犯罪小説。緻密と簡易が妙なバランス。『骨壺の風景』位牌と共に辿る祖母の人生は確かな存在感。『帝銀事件~』平井無実説までは論理的だけど第731部隊だすのは陰謀論。『鴉』浜島の性格的裏打ちを丁寧にやってからの理屈というオチの切れ味。『西郷札』男達の欲と嫉妬が行動で描かれるから余計ドロドロ。『菊枕』ぬいの感情と対比し圭助が己を消していて逆に印象に残る。『火の記憶』火の山の情景が実にインパクトある。
2021/07/30
tu-bo@散歩カメラ修行中
意外かもしれないが、松本清張は芥川賞を受賞している。芥川賞は、作家の資質に、直木賞は、作品に与えられるというのが私の意見である。この本を読むとどの作品もじつに読ませる。文体、構成 なにがというわけではないのに、実に読ませる。底が知れないという印象。最後にこの作品集を読んで浮かぶ心象風景はは、見事に無彩色だった。<(_ _)>
2016/02/23
感想・レビューをもっと見る