四十一番の少年 (文春文庫 い 3-2)
四十一番の少年 (文春文庫 い 3-2) / 感想・レビュー
背番号10@せばてん。
1989年12月19日読了。あらすじは忘却の彼方。(2024年2月14日入力)
1989/12/19
まめこ
★★★★☆作者の実体験のようで、3話とも孤児院に身を置く少年のお話。悲しみに囚われないよう小さな体で踏ん張る姿は痛々しいのだが、行間に飄々とした優しさが漂う気がするのは作者のイメージからかなぁ。標題は昌吉も利雄もどうにも救いが読み取れずただただ辛かった。「汚点」「あくる朝の蝉」もやり切れないが、標題にはない弟の存在が温もりをもたらす。昌吉にも弟がいたら、違った人生があったかもしれないな…
2021/12/27
トロピカ
再読。作者の自伝的要素が濃い小説の『モッキンポット~』を「笑」としたらこちらは「哀」になるのかな。前者で笑いに笑わせてもらったのでこちらもそこまで沈まずに「小説」として楽しめた。3つの短編はどれも切なく苦しく時折りユーモアも。暴力で征服しようとしてくる上級生に舌をチョロっと出して屈しない意思表示を返事する場面がいい。モッキンポットの小松青年が目に浮かんだ。作者と同郷なので東北の小さな町の描写が出ると懐かしさに胸がギュッとします。文末の百目鬼氏の解説は山形県民への偏見が感じられちょっと不快になったけれど。
2021/11/21
けいこん
自伝的小説とあったので買ってみたら、表題作以外の二つは読んだ事ある話だった。あの時代の孤児院の子の生活が書かれている。帰る家が無い、頼る人がいない子供が、曲がったりひがんだり、悪い事したり、良い事したりしながら、それでも生きている。その風景が、淡々と描かれていて、悲しかったり面白かったりする。大人になった今だからこそ淡々と書けるんだろうけどね。今の孤児院の子はまた違う事情で違う苦悩なんだろうなぁ。
2015/11/02
アーノルド
『吉里吉里人』、『十二人の手紙』に継ぐ著者3作品、5冊目 年齢を重ねると色んな境遇な人と出会い、またその話を聞くことで、自身にとって全く未体験なコトでも、ある程度当事者の心情になれたり、それに近いモノが窺いしれたりするものです ただ、どうやってもその気持ちにまで及ばないと感じるのが孤児の心情かと… 孤児となった原因も様々で、数十年前と現在とでは入園理由も異なるモノが多いのだそう 辛い想いをした分、幸せになって貰いたいと切に願う
2021/10/25
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