雁の寺(全) (文春文庫 118-1)
雁の寺(全) (文春文庫 118-1) / 感想・レビュー
shizuka
慈念は生涯を通して笑ったことはあったのだろうか。庫裏の生々しい情事を目の当たりにし、苦々しい気持ちで小僧を勤め、その奇妙な見てくれで誰からも好奇の眼で見つめられ、そんな中でもある種悟ったように寺の雑務、行事に没頭していた。皆から雑に扱われ疎外されてもそういうことには動じない強さがあった。慈念の心にはいつも二人の母がいた。田舎に住み貧困にあえぎながらも、愛を注いでくれた育ての母。でも産みの母の面影が慈念を悩ます。父親に対峙し真実を求めた時、悲劇が慈念を襲う。結末が悲しすぎて涙も出ない。慈念を抱きしめたい。
2016/09/17
tuppo
しぶいけれど今の時代で読んでも楽しめる勢いある文体。
2023/02/25
みっつん
物足りなかった。その後が知りたい。
2024/02/13
shiggy
暗い話だった。殺人を犯した時点では、サイコパス的な印象だったが、最後は身勝手な父に振り回された悲しいお話。最後の慈念の叫びはどのように響いたか。
2023/12/17
sensei
雁の襖絵のある寺の住職の失踪と、それに係る小僧の遍歴が書かれている。
2016/04/16
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