木綿恋い記 上 (文春文庫 118-7)
木綿恋い記 上 (文春文庫 118-7) / 感想・レビュー
shizuka
戦前から戦後へ混沌とした世の中、温泉宿の女中として働く、由布。簡単に落ちて行く周囲の女たちに惑わされず、ひたむきに生き抜く。すぐに春をひさぐ女になるかと思いきや、どっこい決して男に体を触れさせぬ根性。たった1回乱暴されてしまったのだけが哀れ。後半、数年振りに母に会いに帰ったときの母が子を思い待ちこがれていた心情に涙。何も言わぬ母が必死に貯めた七千円。飲み助で男好きだと思い込んでいた母の本当の姿に打ちのめされる。この七千円を胸に上京し、東京では按摩見習いとして生活していく。結婚か自立か、悩みながら下巻へ。
2015/12/07
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