赫奕たる逆光 (文春文庫 の 1-12)
赫奕たる逆光 (文春文庫 の 1-12) / 感想・レビュー
ykmmr (^_^)
三島由紀夫という人物。この人物が「どんな事を考えていたのか?」という事に、ただ漠然と興味がある。「漠然」たる理由は、簡単にこの人物を解釈・昇華してはならないという烏滸がましさからである。野坂さんが『戦争経験者』の立場を持ち、三島の祖父母との関わりを中心とした生い立ち、自分との出会い・関わり、そして、日本の参戦→敗戦からの三島の姿を、自分と重ね合わせて考察している。迫りゆく、三島の『死』への憧れ。野坂さんはそれを憂いながらも、三島が楯の会を作り、市ヶ谷に向かうまでを丁寧に考察している。
2021/11/15
harass
ユーザーの登録から知る。一風変わったエッセイ。著者自身の一家と彼の同時代で付き合いがあった三島由紀夫の考察。戦前戦中戦後と三島の一家と意外なところで接点があり、名門の出の三島の祖母や元官吏の祖父のエピソードと三島への影響などを考察。野坂作品は、小説を数編読んだぐらいしか知らないが「火垂るの墓」の実像などが語られる。かなり複雑な育ちなのだと驚く。また独特の節回しの文体はなるほど江戸戯作的だと改めて確認できた。同時代の人間でないとわからない部分が描かれ、資料としても読みがいがある。オススメ本。
2018/07/05
モリータ
◆初出1987年1,5,6月『オール読物』掲載、単行本は大幅加筆して同年11月文藝春秋刊、文庫版(本書)1991年文春文庫刊。◆「戦災孤児の神話」に関わる部分のみ再読。清水節治(2002)「野坂昭如と自伝小説 : 「戦災孤児の神話」再々説」によれば;野坂の自伝小説は本作以前と以後ではっきり分かれる。それまで自らを空襲で家族を失った「戦災孤児」として演出してきたが、「本作でついにその「嘘」の内容を具体的に「告白するに至った」。◆前回読んだときは気にも留めなかったが、張満谷家の来歴を記すなかで、確かに(続
2022/11/20
モリータ
小谷野敦のAmazonレビューで面白い私伝記として紹介されていて(三島由紀夫にはあまり興味がないけど)読みたいと思っていたところ、先週神大下の「ブックス・カルボ」で見つけた(単行本もあった。どっちも安かった)。解釈はともかく(苦手なので)、ごっちゃになりそうな野坂と三島の生い立ちの同時並行錯綜的記述には読む楽しみがある。野坂の戦後のエピソードの書き方は簡単なので、『わが桎梏の碑』を読んでからでちょうどよかったかな。
2015/07/18
asuwanna
最近個人的に三島由紀夫熱が高まっていて、代表作から何作か読んできているのですが、どうにも三島という人がどういう人なのかが分からず、不思議な森におびき寄せられるかのように、三島関連の書籍を買い求め読み漁っているところ、本書のことを所々で目にして気になっていたので取り寄せて読んでみました。 野坂昭如は名前は知っていながら読んだのは初めてでしたが、その表現の豊かさ、闊達さ明快さに、良い書き手だな!と惚れ惚れ。最後まで一気に読み通すことができました。歴史的背景と自身の体験とを踏まえた独自の分析が鋭く面白い。
2023/10/09
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