もっと遠く 下 北米篇 (文春文庫 127-8)
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もっと遠く 下 北米篇 (文春文庫 127-8) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
下巻は、前半がニューヨーク探訪記、後半は釣り三昧のオタワ篇。開高健にとっては、この時の釣行がニューヨーク初体験(そもそもアメリカ大陸は初めて)だったらしいのだが、さすがに一般の観光客とは大いに違って、面白いルポルタージュになっている。25cのお手軽ポルノ・ムーヴィーから、ディープな会員制クラブ、果ては死体置き場まで。それもこれも柔道6段の案内者がいてこそだが。後半はオタワ近郊でのマスキー釣り。1万回に1回釣れるかどうかという幻の魚。開高は120cmのトロフィーサイズを釣り上げて、大満悦の態。おめでとう!
2016/02/17
ゆいまある
釣りながら南米アメリカ縦断の旅。大人の事情でニューヨーク編が長い。1979年の話だから今と事情が違うんだろうが、シーフードがやたらと美味しそう。開高健は食べ物のこと書かせたら天下一品。何故かモルグ見学までしてて興味深い。NYで釣れる魚、ブルーって何だろうと思ったら高級魚アラのことらしい。釣れなくて焦った開高さんは、「お守り」として女性にあの毛を分けて貰う。次に何故かトロントに北上。幻の魚マスキーパイクを釣り上げる。次にマイアミでバス釣り。いいなあ、私も年取ったら暖かい所で日がな一日魚を眺めていたいなあ。
2019/02/13
fseigojp
これは北米編の釣り紀行
2015/08/11
さっと
「郷に入っては郷に従え」ということわざは小説家にとってひとつの旅の信条だったように思う。食べ物にしても当地の食べ方、味のつけ方にまずは従ってみよう。釣りもそう。釣り方は当地のガイドが知っている。だってそうだろう。「わたしはこれを見て、この魚を釣りたくてはるばる東洋からやってきたんだ」「イエス、ワタシニハアナタニツラセルギムガアル」とかなんとか、個性的なガイドとのやりとりも楽しみのひとつで、ついに盟友・ボブ・ジョーンズが登場する。狙うは巨大魚マスキー。釣果は”オタワの奇蹟”に結実する。表紙はそのマスキー。
2018/11/11
東森久利斗
”半ば子供の脳を持った大人衆と 半ば大人の脳を持った子供衆と そういう私自身のために” オタワの奇蹟、幻の魚マスキーとの闘いがクライマックス、まるでドラマのよう。大自然での悠久の時の流れ、ニューヨーク、摩天楼、5番街の喧騒、ハンバーガーとビール。相対する環境に共通の生命力、人間の小ささ、愚かさ。その一瞬を捉えた写真、写真に添えたコメントが最高。
2022/11/16
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