屈折愛: あなたの隣りのストーカー (文春文庫 か 24-1)
屈折愛: あなたの隣りのストーカー (文春文庫 か 24-1) / 感想・レビュー
阿部義彦
精神科医の春日武彦さんの著書。親本は平成9年だったらしいです。私見ですが、精神用語みたいなのは、 私の小さい頃はほぼ和語ばかりでしたが、近年はかなりマニアックな概念とかも、横文字で一般化して子供でも使う様になりましたね、その最たるモノがトラウマだと思いますが、このストーカーもそうですし、アダルト・チルドレン、サイコパスなんかも。さて人格障害と精神病はどう違うかとか、基本的な事を丁寧に解説してくれます。大事なのは、精神医学や心理学は基本的に後知恵であり、理解と説明の為の学問であり、予測予言の学問では無い。
2024/11/23
魔魔男爵
ストーカーブームの時の本だが、便乗本ではない。ストーカーという名称を広める切っ掛けになったリンデン・グロスの『ストーカー/ゆがんだ愛のかたち』の解説者が春日先生だったので、春日先生には、ストーカー評論家第一号を名乗る資格があるw。具体的なストーカー対策は地方農村に移住汁!ぐらいしかなく、ストーカーに困ってる人にはあまり参考にならないかも?精神分析用語を茶化したギャグをやってる面白い読み物である。ストーカーは基地外さんなら治療も可能だが、人格障害者なので、逃げるしかないざんす。ストーカーややばい人に遭遇する
2018/01/06
erie
ストーカーについて、統合失調症によるものと人格障害によるものとに分類し解説している。新しい言葉(特に、多数派ではない声質を持つ人を指す言葉)がパッと広まる過程についての考察、ものごとを安直に単純化して娯楽に落とし込むメディアへの批判なども鋭い。これまでいくつか(真っ当な)精神科医の本を読んできたが、彼らは総じてユーモアのセンスがあるなあという印象。本自体が古いので、家庭のあり方の前提などが古いのが難点か。愛読書とその人の精神の傾向についての記述があり、遊び半分の記述と解釈したがちょっとドキッとした。
2018/10/21
晴間あお
ストーカーの精神構造を冷静に分析している印象。オタクとしてはヤンデレを思い出さずにはいられない。ストーカーの精神構造は他人事ではないようで、「安直なデジタル的発想、予断や憶断による決めつけ、被害者意識を通じての自己正当化といったものは、常にわれわれを誘惑しつづける」と著者。「ありのままで生きよう」というのも発想が似ている気がする。「ありのまま」なんでもわかりあえる関係か、わずらわしい他者として排除するか、というデジタル。折り合いをつけるというグラデーションの無さ。そういう点がストーカーと似ている気がした。
2018/04/08
Ted
'01年12月刊(底本'97年3月)◎残念ながら今では報道に接しない日がないほど人口に膾炙してしまったストーカーの性格的諸元と病理を精神科医が鋭く分析。戦後、アメリカだけをモデルにひた走って来たのだから当然の結果だろうが、日本で問題になり始めたのはアメリカに遅れること数年の'96年秋頃からだという。日米以外でも同様の現象は起きているのだろうか。ストーカーのタチの悪さは、一見しただけではその異常さを見抜けず、寧ろ善人を装ってすらいるので普通の交際が暫く続くが、ある日ふとしたきっかけで突然本性を現す点である。
2014/10/16
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