開幕ベルは華やかに (文春文庫 あ 3-7)
開幕ベルは華やかに (文春文庫 あ 3-7) / 感想・レビュー
goro@80.7
大女優と歌舞伎界の重鎮が同じ舞台に立つ帝国劇場に掛かった殺人の脅迫電話。有吉佐和子ならではの舞台裏での役者の描写が秀逸。そして二人の看板役者の意地と舞台に賭ける想いがこの物語の見せ場だね。ただ観客を巻き込んだ所はチョット頂けないかな。劇中劇が良いだけに勿体ない。そしてラストのセリフは俗人とはかけ離れた世界に生きる者の本音か。
2019/09/24
ぐうぐう
おもしろい! ある舞台劇をめぐる物語なのだが、そもそも有吉佐和子は、自身の小説が劇化され、また演出を何度も手掛けるなど、演劇界とはゆかりのある人物だ。しかし、実際にその世界を知っているがゆえに、バックステージをこれ見よがしに書くのではなく、読者が抱く演劇のイメージを壊さず、積極的にステレオタイプの俳優を造形することで、まずは親しみを覚えさせるテクニックが素晴らしい。それでいて、そのステレオタイプをやがて裏切っていく展開が、なんとも心地いいのだ。(つづく)
2014/08/24
うーちゃん
ミステリ+演劇界内幕もの。芸能の世界の特殊な内情が、綿密に生々しく描かれる。中でも大女優・八重垣光子の造形には最後の台詞に至るまで圧倒された。良くも悪くも"場の空気を支配する人"というのは実際にもいるものだ。ミステリ部分は、これまた良くも悪くもだけど演劇的で、ドラマを見ているように話が流れるけれど、ちょっと芝居がかった、大袈裟な感じはした。「そんな難しいこと、私は、女優でございますから分りません。社長にお訊き下さいまし。私、舞台以外のことは何も存じませんの。」八重垣光子が、すべて持ってってしまう作品。
2022/10/25
hit4papa
舞台演劇の主演女優への殺人予告を軸にしたミステリです。演出家の降番から端を発し、中盤ぐらいまでは演劇界のドロドロを描いています。事件そのものよりも、エキセントリックな俳優たちの生き様の方が面白いですね。
ω
恍惚の人(80年代に高齢化問題をえぐく書いたもの)が結構好きで、ちょっと有吉さんブーム。 本作も、読みやすいタッチ。章立てによってストーリーが上手に進んですんなり入ってくる。 舞台に立つプロ中のプロ、八重垣光子の殺害予告。 内容は恍惚の人が今のところいちばん。優れた読みやすさで書かれる小説はどれも好きω
2018/03/14
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