猫だって夢を見る (文春文庫 ま 2-10)
猫だって夢を見る (文春文庫 ま 2-10) / 感想・レビュー
佐島楓
このエッセイ集は秀逸。読んでいるだけで文学的歴史的雑学が身につく。特に鉄仮面の話が面白かった。こういったエッセイを書けるだけの教養を得るにはどうしたらいいのだろう。
2012/12/30
棕櫚木庵
『猫だって夢を見る』とはいうものの,猫が主題になっているのは(なんて,大仰な言い方だけど)序文にあたる短文だけ.あとは,様々な話題に係わる,博識と見識に裏打ちされた楽しいエッセイ.たとえば,あの「サラダ記念日」.「サラダ」や「記念日」から戦後風俗を読み解くも楽しいが,「七月六日」や“食べ物と恋”に係わる議論は文学的伝統を重視する丸谷の真骨頂.種々雑多な博識や思わぬ指摘ををへぇ~なんて面白く読んで,笑って,そして大半は忘れて(^^;),でも,ものの見方に影響を受ける,そんなエッセイ集.→
2022/03/15
KAZOO
あとがきで、清水義範さんが丸谷さんの本を寝酒の友にする、という事が書かれていますがまさにその通りです。セーラー服考から雑誌の文春に関するまで様々な話題を取り上げています。あらゆることについて読者を飽きさせないというか、気をそらせないような語りぶりです。何回読んでも楽しめます。まさに酒の友のするめみたいです。
2014/06/19
むちれお
オール讀物に連載されていたエッセイらしい。こういう適度に知的で、適度にくだらない感じのエッセイは好きだな。和田誠さんの挿絵もいいね。
2019/08/04
NORA
頭のいい人の話を聞くのは面白い。それは文字でも同じ。丸谷才一は文壇のボスみたいな人だが、少なくともこの本の中ではそんな威厳はぜんぜん感じない。丸谷センセはたまたま訪ねた研究室でお茶を出してくれた老教授のように軽妙に、それでいてゆったりと読者に語りかけてくる。決して偉ぶらず、茶の間の戸棚のガラスを開けるかのような手慣れた手付きで、あんたどこでそんなこと覚えたんだと言いたくなるようなマニアックな知識がポンポンとちゃぶ台に並んでいく。それが実に楽しい。清水義範による解説も素晴らしい。
2019/06/17
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