女ざかり (文春文庫 ま 2-12)
女ざかり (文春文庫 ま 2-12) / 感想・レビュー
遥かなる想い
丸谷才一1993年の本。 新日報社を舞台にしたこの本、 旧体の文字使いと軽快なタッチが軽やかで ひどく楽しい。南弓子の存在も艶っぽく 物語に華を添える。 弓子が書いたコラムが発端で始まる騒動と 元女優の母の人脈を駆使した交渉騒動.. 丸谷才一の筆致は留まることなく、突き進む.. 軽やかで読みやすいお話だった。
2016/10/30
ケイ
衝撃を受けた。丸谷さんを尊敬していた。彼の深い知識、的確な批評、英文学の紹介の仕方。清廉な方だと思っていたが、こういうものを書かれるとは。彼の書く文学から、女性に対する視点が見えてきて、おぞましいとすら感じるところがあった。私はこの中の娘の千枝と同世代。当時経済学部では女性が一割未満。こちらに女性の性を感じないで欲しかったので、女として特別扱いされるのは嫌だった。その時にまさに嫌だったことが、この作品の中の女性達がしている。哀しくて悔しい。丸谷さんは、反論として敢えて書かれているのだと思いたいが…。
2019/08/19
りんご
ふえぇ、おにいちやん、よくわかんなかったよう。兄から送られてきた本。明日返すのでどうにか読んだ。何箇所かは声出して笑ったけどね。書の大家んとこに行ったら孫娘2人がいて、いちいちやんややんやと囃し立てるところね。お酒に関する詩句を書きつけ、「これはすこし、いいかもしれぬ。書は身の軽きをもつて尚としとなす」。これに対して孫「お爺ちやま、さすが〜」「飲む前、飲んだあと〜」「お酒のコマーシャルに出るといい」「ほんと〜」😆ギャルかこいつら。
2022/08/12
おさむ
約30年前のヒット小説。インテリ・丸谷才一の書下ろしとあって、格調高い文章ですが、いま読むと女性の話し言葉や、男性達の上から目線が「古色蒼然」な印象は否めず。主人公は新聞社の女性論説委員。並み居る男どもを手玉にとりつつ、この国の根深い男社会の象徴のような論説委員室を渡り歩く。その生き様は爽快だ。国有地払い下げなど新聞社の内部のドロドロとしたシビアな話も入っているのに、それほど重く感じないのは、筆力ゆえなんだろうなあ。新聞社内の派閥争いを描いた映画「社葬」をふと思い出しました。ブックオフ110円本。
2021/12/20
James Hayashi
米原万里が「恋と女の日本文学」を絶賛されていたので手にとって見た一冊で初読み作家。女性が中堅新聞社で論説委員になる出世物語りかと思ったが、旧仮名遣いを交え、時代的雰囲気も古臭い(ワインを葡萄酒など。初版1993)。ガツガツ仕事をしていく女性が書かれていくのでなく、離婚後の男友達や家族との触れ合い、政治的圧力に対峙していく姿がユーモアを交え柔らかく語られていく。45歳、独身エリートと魅力的であるが、あまり身近には感じられない登場人物たちであった。笹まくらはどうであろう?
2016/10/24
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