賢人たちの世 (文春文庫 し 2-18)
賢人たちの世 (文春文庫 し 2-18) / 感想・レビュー
ふじさん
今、政治改革が話題になる中で、この本は時代を超えて読む価値があるように思う。昭和40年代から50年代にかけて政治改革を真剣に追い求めた政治家がいた。昭和の三賢人と呼ばれた椎名悦三郎、前尾繁三郎、灘尾弘吉である。三人とも官僚出身だが、岸信介ー佐藤栄作という流れから距離を置き、人事による操作や寝業師的な工作は苦手、能弁ではなく、自己を吹聴することもない。派や個人のための金集めや金配りは不得手。政界の浄化に腐心した三人の足跡を丹念な取材と豊富な資料を辿りながら、政治の在り方を描いた力作。今、是非読んでほしい。
2024/05/26
KAZOO
城山さんがこのような政治家たちの評伝を書かれていたとは知りませんでした。最近の政治家はここに書かれている人物たちと比較すると本当に小粒になったとしか思えません。椎名悦三郎、前尾茂三郎、灘尾弘吉の三人です。三人ともに官僚出身ながら国を思う気持ちは人一倍強く、自分たちは総理にはなろうという気持ちはなかったという政治家でした。やはり話の持っていき方は城山さんは上手ですね。
2024/07/25
Our Homeisland
良い本なのに、ここ読書メーターで47登録とは、少なすぎます!小説というよりは政治ドキュメンタリーという内容です。このようなスタイルが「男子の本懐」など得意な著者であると思います。椎名、前尾、灘尾の三人が主人公。私が物心ついた時の首相は佐藤で、その後、三木、福田、大平、鈴木、中曽根、と続きました。今回の三人の中では、椎名悦三郎は当時のテレビニュースなどで名前を聞いていた覚えがありますが他の二人はほとんど知りませんでした。自民党の政治家の中にも清廉潔白でまっすぐで世の中を考える素晴らしい人たちがいたのですね。
2016/05/16
sirahane
日本の政治の浄化を願って集まった三賢人。それぞれ性格が全く違うけれど目指す所は同じ。しかしその浄化はなかなか進まない。当時の総理の動き、また報道のされ方も絡めて面白く読んだ。今の政府にこういうお目付け役は居るのだろうか?ちょっと心配。
2013/05/15
読書国の仮住まい
著者初読み。 ボリューム 55年体制の後半、政治家であった三人 世界観 椎名悦三郎。 仙人の趣を持ち、座右の銘は事を省くにしかず、省事。 一つの目標にさまざまな道があっていい同極異路という言葉も好む。 前尾繁三郎。 学者の趣を持ち、大柄な体で鈍い動きから暗闇の牛と異名で称される。 灘尾弘吉。 詩人または宗教家の趣を持ち、鄧小平に対しだいぶ若いねと言える年輩者。 補足事項 大派閥に属さなければ影響力を発揮できなかった時代において、政界の抗争と金権政治に歯止めを効かせた賢人。 このような人物の必要性を感じる。
2022/01/29
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