嬉しうて、そして… (文春文庫 し 2-30)
嬉しうて、そして… (文春文庫 し 2-30) / 感想・レビュー
ふじさん
再読。初めて読んだのは、2007年、現職でばりばり働いていた50代の頃。城山三郎大好きな自分にとっては、彼のすべて知った上でもわくわくするする内容だった。メモを取りながら一気に読んだ記憶がある。彼の最後の随筆集で、彼が魅力を感じて描いた人物の逸話や彼の人間性が分かるエッセイ等盛りだくさんの内容。再度読み返してみてもやはり面白い。城山三郎を知らない人には入門書として最適かもしれない。是非お勧めしたい。今いない作家のタイプではないか。
2021/10/02
うりぼう
城山さんは、名古屋の人。氏の蔵書が寄贈された双葉館に、まだ行っていない。城山ファンと情けない限り。逝去されて、もう3年なんですね。佐高信さんと週間金曜日で個人情報保護法案に命懸けで抗議されていたことを思い出す。愛する妻に先立たれ、関白宣言の「俺より先に逝ってはいけない」という心境。人生は成功するという昨今の自己啓発本を超える言葉、立花大亀の「担雪埋井」、熊谷守一「三風五雨」そして、曾国藩の「四つの耐える」井上紀子さんのあとがきも抜群。「当り前のことが当り前にできる世に」私達の時代で実現するのだ。
2010/05/23
金吾
城山さんのエッセイであり、政治・経済・社会に対して鋭い視点で考えを述べています。似たような考えもあれば、全く異なる考えもありますが、著者の書き方のせいか面白く読めました。「私の履歴書」「日本官僚の自殺」「大きな体に小さな野心」「賀状から」「嬉しうて、そして」「昭和二年生まれの戦友へ」が良かったです。
2022/04/05
職商人
この方の本を読むと襟を正す気になります。城山三郎を一言で称すると「正しいひと」「潔癖な人」と思います。やくざな私なんぞは、城山さんの本を読むたびに「悪人」「自堕落」「考えがぶれる」「浅はか」など、どうしようもない自分を自覚することとなる。ところが、何というか、そういう私が、城山さんの言うことになら耳を傾けられる。もっとも聞いても自分はできないことが多いですが。こんな御方がいないと私はどっかに飛んでいっちゃう。昨今の世情を見るにつけ「ああ、城山さんは もう いないのか」と思います。
2014/03/02
wearnotequal
城山さんの随筆集。週刊誌のコラムのように読みやすく、筆者の本質が垣間見える。特に印象に残った言葉。人間を支える3本の柱、1。自我、宗教など自分を支えるもの、2。アチーブメント、目標、3。インティマシー、親交。人生うまくいくことのほうが珍しいと思え。坦雪埋井、努力は雪を井戸に放り込んで埋めること、無駄に思えることでもやり続けることも肝要。人生とはそうゆうもの。
2015/06/13
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