兄弟 (文春文庫 な 25-2)
兄弟 (文春文庫 な 25-2) / 感想・レビュー
ちゃとら
「死んでくれてありがとう」て本があるんだよ!幼馴染の友が最近酔うと言っていた。探してみたら、なかにし礼の作品。映画にもなっていたのかな〜⁈知らなかった。ほぼ実話。特攻隊から帰ってきた兄が、弟にたかりまくる。弟に肩代わりをしてもらった借金は役10億円⁉︎放蕩し放題の兄。高度成長期の芸能界をしても、兄の借金で生活苦になった弟、ありえない‼️戦後、心を病んだ人が多かったとか、兄はその類なのか?母が亡くなるまで続いた、遊ぶ人、返す人の関係。血縁の情なのだろうか。核家族化で希薄になっている今?わからない。
2018/06/03
KEI
作者の自叙伝。それ以前の様子は‘赤い月'で読み、満州での豊かな生活から一気に引き上げの苦労を知り驚いたが、戦後このような生活があったとは。。。 兄の死を喜んだと冒頭から書いてあったが、あのような兄弟なら無理も無い。 しかし、中盤は兄への愛情を感じた。あとがきで石原慎太郎氏との対談があったが、そこで この小説を書けば書くほど、兄を憎む気持ちが薄れていくとあったが、まさに氏がこの本を書くことで、兄の存在を自分の中で整理していったのだろうと感じた。
2013/10/11
reo
飲む打つ買うは序の口。言葉にできないほどの兄政之の振る舞い。でも前半は言わばフーテンの寅さん的な趣があり、中西家の長男だから許してあげたら…。という愛嬌がある。しかし兄は禮三をかたり銀行から小切手帳を受け取り銀座の支払いが1千万円。会社の顧問弁護士は兄を告訴するように言うものの、禮三は兄をかばう。それ以降もゴルフ場開発の失敗などで6億以上の借金を抱え込み、家屋敷など全資産を投げ出しても3億5千万の負債が残る。それもこれも全部母の存在だった。母が死に兄が被っていた母の仮面が剥がれる。マア凄まじい兄さんだわ。
2019/01/19
Kazehikanai
兄との相克を中心に描く自伝的小説。絶え間なく借金を作りのしかかる疫病神のようなどうにもならない兄に引きずられたように見えるが、親孝行や兄弟愛に縛られてことごとく判断を誤る弟が、実はどうにもならないように思える。破滅したのも、させたのも自分であることに気がついていないことが、兄の死に際して出た「死んでくれてありがとう」の言葉からわかる。おもしろくはあったが、まったく共感も同情もできなかった。
2016/07/24
ちゃま坊
兄が死んで「万歳!」と叫ぶ非常識な冒頭部に引き込まれた。満州引き揚げと特攻隊の生き残り兄弟。「赤い月」の続編のようだが、あれから何があったのか。BGMは「石狩挽歌」と「知りたくないの」。ニシン漁の絵が思い浮かぶ。出世すると寄ってくる親族は世の常か。この一族は富豪、ドン底、富豪、どん底とジェットコースターのように浮き沈みが極端だった。久々にほぼ一気読み★★★
2018/02/16
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