前世の記憶 (文春文庫 た 26-6)
前世の記憶 (文春文庫 た 26-6) / 感想・レビュー
hideko
再読。『記憶』シリーズ第2弾。 短編集。またしても東北が舞台。 いずれの主人公も中高年の男性で世間的に地位のある立場である。 そういう人物こそ失うものが多いから、不都合な過去に無意識に蓋をしているんだろうな。 今回は親の過ちが多かった。 真実は知らない(忘れる)ほうが幸せな時もある。 表紙の峰岸達氏のイラストの素朴さが逆に怖い。
2017/08/21
リッツ
これも何度目か。ズバリなタイトル、そして怖くて悲しい短編集。シリーズなのでこの話はここに入っていたのか?!と思い、そうなると全部目を通したくなる。悲劇ばかりなのに妙に魅力的な箇所がいつまでも心に残る。針の記憶、匂いの記憶にある一握りの切なく甘い雰囲気が特に。
2015/04/09
のぼる
デビュー作「写楽殺人事件」より30年ほど遠ざかっていたが、先月より堰を切ったように、「私の骨」「緋い記憶」に続いての3冊め。 朱川さんの大人バージョンみたいな雰囲気を感じる。30年疎遠だったのを今取り戻しているよう。次は「蒼い記憶」へ。
2017/08/08
makersat
記憶シリーズということで、ふとしたきっかけで記憶を掘り下げていく短編集である。構成としてはワンパターンで、きっかけ→探究→真実という三段構えとなる。二冊目ともなると少々飽きが来る印象は否めないが、水戸黄門や遠山の金さんのような予定調和が心地よくもある。全篇を通して感じることが、前作「緋い記憶」と重複するのは仕方がないだろう。記憶に対する恐怖、悲哀、そして、懐古。誰しもが共感し得る題材である。特に気に入ったのは「針の記憶」だ。タイトルのセンスと記憶が持つ懐かしみ、そして、真実の恐ろしさと哀しみが秀逸だった。
2015/08/23
simasima
「記憶シリーズ」第二弾のこちら、今回も記憶の苦さを知る大人なら思わず唸ってしまうような濃厚なムードに満ちた8篇を収録。いずれも予測できそうでできないストーリー運びが見事で、ガツンと苦味の効いた深煎りコーヒーのような味わいに満足度は極めて高い。昭和や東北の雰囲気もまたテーマによく合っているのよね。中でも「匂いの記憶」はタイトルからは想像もできない着地点に思わずニヤリ!第三弾の『蒼い記憶』は既読のため、これで記憶シリーズ3冊読破となりますが、手放せませんなこりゃ。本棚に収めて何度も再読を楽しみたい。A
2015/03/15
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