だましゑ歌麿 (文春文庫 た 26-7)
だましゑ歌麿 (文春文庫 た 26-7) / 感想・レビュー
ちょろこ
面白かった一冊。手にしてみたら予想以上に読みやすくて面白かった。松平定信の寛政の改革を時代背景にした濃厚な時代ミステリは人気絵師、喜多川歌麿の奥方のおりょうが惨殺されたことからスタート。この事件を一つの主軸に、また更なる事件が重なりゆく展開。哀しみにくれる歌麿、事件を追う同心の仙波を取り巻く不穏な空気は事件のバックのビッグさを浮き彫りにさせ、疑心暗鬼の連鎖と人が持つ多面性が心ざわつかせる面白さ。そして理不尽な改革という歴史を知る楽しさもあった。蔦重、春朗も加わる豪華キャストで醸し出す江戸の空気もまた良き。
2024/09/19
財布にジャック
歌麿や北斎が登場するなら読んでみようと、650ページの厚みには抵抗がありましたが、シリーズ1作目にチャレンジしてみました。ミステリー仕立てで犯人当ての楽しみもプラスされた時代物で、さすが高橋さんと思わせる濃い内容でした。時代劇の醍醐味を味あわせて貰える凄い黒幕や、時代背景もこの作品をより魅力あるものにしてくれる重要な要素でした。しかし、やはり650ページは分厚すぎて何度も挫折しそうになり、読了出来てホッとしてます。と言いながら、シリーズ2作目も読みますけどね。
2012/06/12
はつばあば
思わず高橋さんて平蔵さんも定信さんも嫌いやったのかしらと。そりゃそうよね、高橋さんの大好きなこの時代の浮世絵師や狂歌師を迫害したのですものと納得。そういえば今の政治家も情報統制を・・高市さんが言っていたような。面白かったです。歴史のすき間を埋めてくれるこの作品。分厚いですが読み終わるのは一瞬(^^♪。このだましゑの次に「おこう紅絵暦」、一息ついて「京伝怪異帖」で「春朗合わせ鏡」を読めばいいでしょう。でもどれから読んでも「あの人やこの人とまた出会えた」と嬉しくなります
2016/02/23
がらくたどん
蔦重の物語を読んだので再読。倹約魔王老中定信の引き締め政策期のお江戸が舞台。大水害の翌日、南町の超堅物同心仙波一之進(仙一)は偶然にも人気絵師歌麿の恋女房の惨殺事件に関わる事に。定信の容赦ない娯楽粛清策に知恵と手数のエンタメテロで対抗する蔦重一派。義賊の評判を取りつつ暗躍する盗賊団。奉行所上層部からの謎の捜査打ち切り圧力。抗う仙一に差し伸べられた火盗改からの手も命綱なのか罠なのか?大きすぎる敵。疑心暗鬼。笑顔と邪顔がくるりくるりと入れ替わる騙し絵さながらな江戸の街を仙一がひた奔る。傑作王道エンタメ時代劇♪
2024/09/07
ひらちゃん
重かった~(笑)じゃなくて面白かった~!だって分厚いんだもん。千に一つの目溢しもない、だから千一。かっこいい(//∇//)歌麿、鬼の平蔵、老中定信に蔦屋など。実在の人物に史実が織り混ぜられながらのミステリー。民から見た定信の倹約ぶりを捉えたとこなんて逸脱。次は春朗(後の北斎)か、楽しみが増えましてござる。
2016/02/06
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