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カットグラス (文春文庫 し 36-1)

カットグラス (文春文庫 し 36-1)

カットグラス (文春文庫 し 36-1)

作家
白川道
出版社
文藝春秋
発売日
2001-07-01
ISBN
9784167174040
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カットグラス (文春文庫 し 36-1) / 感想・レビュー

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ばりぼー

追悼の意を込めて15年ぶりの再読。登場するのは四十代、五十代の中年男達ばかり、地道に勤め上げそれなりの地位を築いた男達が、過去を清算するためにあえて破滅への道に踏み込んでしまう(プチ)ピカレスク・ロマン。どいつもこいつも周囲の善意ある忠告を無視して脱線して行くので、真っ当な価値観を持っている人には感情移入し辛いし(特に女性には)、下手をすれば陳腐になりかねないあざとい展開の連続ですが、これはギリギリ踏みとどまった、まさに自己陶酔型「滅びの美学」。このリリシズムは、わかる人にしかわかりません(笑)。

2015/04/30

エドワード

アラフィフという言葉もない時代の企業戦士たち。私より少し年上の男達は本当に野心と努力の人々だった。それだけに前途が見えた時の悲哀が辛い。亡き子供の面影を若い恵子に見出す商社勤務の戸辺。恵子を自殺に追い込んだヤクザを追う「イヴの贈り物」。湘南生まれの幼馴染み三人の複雑な愛と友情の交差「カットグラス」。建築会社の法月が松山で出会う元歌手リリーとのつかの間の夢「浜のリリー」。短編だが凝縮された内容が濃い。男の方がよっぽどセンチメンタルだ。青春時代の真ん中は道に迷っているばかり。迷っている間は青春だと思いたい。

2022/01/12

Aiichiro Nakajima

短編集の1話1話が心にしみる内容です

2017/04/18

Tetchy

全5編。とにかく胸を打つ。登場人物たちはどれも40代以上。そう、もはや限られた未来しか残されていない人々だ。若い頃に読んでいたならばこの作品の味はこれほどまでに深く心に染み込まなかっただろう。私もこの物語の登場人物たちの年齢に近づいたからこそ胸に響く音ははるかに大きくなっている。白川氏の豊かな人生経験に裏打ちされた感情論が登場人物たちの口から繰り出される。思わず頷いたことが何度あっただろう。読み終わった後、暗い部屋でアルコールを片手にじっと浸りたくなる、大人の小説集。その味は一級であることを保証しよう。

2012/02/23

トラビス

白川作品は天国への階段以来。全五編の短編集で主人公は皆五十前後の男達。五十代という年齢は、サラリーマンとしては盛りを過ぎて終わりに近づこうとする踏ん張りどころであり、背負う荷物が重たい男にとって人生で最も苦しい日々なのだろう。

2015/07/07

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