壊れかた指南 (文春文庫 つ 1-15)
壊れかた指南 (文春文庫 つ 1-15) / 感想・レビュー
徒花
ヤマなし、オチなし、意味ナシと、三拍子そろった短編集が機関銃のように乱射されるナンセンス短編集。個人的には嫌いじゃないが、胸を張って人に薦められるような本でもない。小説の核をなすなにか一つのアイディアからそのまま直感的に描きはじめられたような物語ばかりで、書き始めたはいいものの、どう終わらせればいいか著者自身がよくわからなくなって投げっぱなしジャーマン状態になってしまったような作品、といえばいいだろうか。興味があって、暇なら読んでみるのも悪くはない。
2017/03/05
優希
奇才の実験的精神とエンターテイメント精神が混じり合い、筒井ワールド全開でした。奇妙な味の短編と一瞬で終わるショートショート、ぶっ飛んだスラップスティックがたまりません。確かに壊れているという感じで、普通に読み始めたはずが変な方向へと連れて行かれ、毒気に蝕まれています。でもこの持って行かれ方が癖になるんですよね。面白かったです。
2015/10/26
アドソ
エッセイのようなフィクション(逆ではない)で始まったかと思うと、時代劇風ドタバタコメディ。正直「これ読むのキツイな」と思ったところであっさり終了(え?)。徹底的に無駄を省き、余韻を残した水墨画のような短篇集。10篇のショートショートもさることながら、その後続く四つの短篇がさらにすごい。中でも『狼三番叟』『店じまい』は傑作。同じ読後感を得たいなら筒井康隆でなくてもよいのかもしれないが、いやいや、筒井康隆が書いたからこそこの味が出るのだと思う。
2019/04/25
はち
筒井康隆の恐ろしいところは、もう高齢なのに新しい作風に挑み続けているところだ。この作品は短編集なのだけれど、昔のスプラッター要素はなく、淡白な雰囲気ではある。それでも、奇妙な作品集。爆笑したのは鬼仏交替。憧れさえするのは耽読者の家。でもこの作品も何か怖いぞ。何なんだろう…
2012/04/26
hirayama46
老いをテーマにしても筆致は若々しく……というわけでもなく、雰囲気も老成されたものになっていて、わりと投げやりな部分もあるのもそれはそれで愉快。最初の一冊には勧めにくいですが、特有の味わいはあると思います。
2019/04/17
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