エドの舞踏会 (文春文庫 183-9)
エドの舞踏会 (文春文庫 183-9) / 感想・レビュー
さっと
条約改正に向けた欧化政策の極端なポージングと揶揄される鹿鳴館のダンスパーティーの参加者集めに奔走することになったボディガード兼エスコート役の海軍少佐・山本権兵衛を通して描かれる政府高官夫人たちの様々なドラマ。武骨で愚直な軍人(とはいえ彼もまたのちに政治家となる)と、清濁あわせもった政府高官のコントラストが効いているが、物語のラスト、権兵衛の命日によせて、「その日から八年後の同じ十二月八日、彼が心血をそそいで作りあげた日本海軍は滅亡の航海へ旅立つ」には、それを言いたいがための人選かと思わず邪推してしまう。
2018/10/16
ささ
◾️ピエール・ロティの『江戸の舞踏会』と山本権兵衛が妻に渡した7ヶ条に興味を持って手に取った。明治期の著名な人たちの妻に焦点をあてた本。この着眼点は当時としてもなかなかだったのでは。山本と妻の冒頭近くのやり取りで、山本と妻の関係性がわかるのがとても良い。『「お馬車がけがれます」(略)それをみなまでいわせず、(略)「そいじゃ、乗せていただこう。乗るぞ!」と、大喝にちかい声でいい』。史実を交えた群像短編集という感じでさくさく読めた。登場人物がみんな生き生きしてる。
2023/09/28
モンティ
山田さんの本は初めて。これを知ったきっかけは日曜名作座。聴いていてとても面白かったので、ついに図書館に予約して取り寄せてもらったが、内容はとても面白く歴史好きの私にはサクサク読めた。本当にこんな事があったのだろうかとWikipediaで調べたりして、史実からの創作と知り、益々面白くなった。明治維新を成し遂げたえらそうな旦那さんの奥方が髭を蓄えた旦那さんより数倍すごみがあり、度胸が据わっており、恐れ入りました。私が読んだのは大活字ブックス。大きな字だったのでそれもサクサク読めた理由かもしれない。
2022/02/22
さざなみ
ずいぶん昔に「くのいち忍法」関連の本を読んだような気もするが、初読みに等しい山田風太郎の本でした。 この年になってこんなに面白い小説に出会えるとは・・・・ 明治維新を行った人物にはいろいろ批判めいたゴシップがあるが、その人たちの奥方が生々しく、生き生きと描かれており(フィクションであっても)ページをめくる速さはピカ一でした。
2021/02/02
きよきよ
明治初期の著名な政治家の妻たちをメインキャラクターに話は進む。 彼女たちを鹿鳴館の舞踏会に参加させるために家を訪問し、 夫婦の隠された問題に巻き込まれ、解決する。 登場する妻のほぼ全員が短期的ないし、長期的に芸者を していたことがあるのには驚いた!
2014/08/14
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