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女優X: 伊沢蘭奢の生涯 (文春文庫 な 1-21)

女優X: 伊沢蘭奢の生涯 (文春文庫 な 1-21)

女優X: 伊沢蘭奢の生涯 (文春文庫 な 1-21)

作家
夏樹静子
出版社
文藝春秋
発売日
1996-04-01
ISBN
9784167184216
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女優X: 伊沢蘭奢の生涯 (文春文庫 な 1-21) / 感想・レビュー

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キムチ

刊行が30年近く前というのはこんなに温度が違うのかという想い。しかし、夏樹氏の筆は抑えた筆致ながら事実をぶれることなく綴って行く。初めて名前を知った蘭奢。蘭奢待からも引いてきたとは薬屋に嫁いだ名残もあったのか。【人形の家】に触発され、彼女が飛び込んだ世界は大正という時間では茨と想像するに難くない。須磨子亡き後10年煌めいたとはいえ、短すぎた時間は名が残らなかった。29歳で歩み始め 想いかなって置いてきた一人息子と再会を果たし 突如もぎ取られたような命。明治大正期、他にあまたの類似例を読んだ事も重ね~

2020/06/05

しん君

キャリアの絶頂で没した伝説の女優・伊沢蘭奢。十代の多感な時に演劇に触れる。結婚するも子どもから引き離され深い寂寥感などから女優の道へ。日本人離れした西欧風の美人。情念的で身持ちの悪い女。舞台女優として芸域の広さと堅実で安定した演技力への称賛。ラジオや映画などにも出演し多忙を極める晩年。大女優と呼ばれ新劇界でトップスターの座まで上り詰めるも、故郷の息子に思いを馳せる。朝井まかて作『輪舞曲』より彼女の魅力がいっぱい詰まっている。一女優の生涯を描いた伝記小説であり、新劇の歴史なんかもわかる。

2020/09/09

wasabi

大正期、女性が夢を追い家庭を捨てて自立するなど、田舎では認知されるはずもなかったろう。新劇界の盛衰のなかで経済的に苦労し、大震災にも遭遇しているが、彼女の前向きな生き方と、周囲の庇護により悲壮感はない。ただ、津和野に残した息子への想いは断ち切れずに葛藤するが、人生の最後に息子と心を通わせることができたシーンに感動した。

2006/08/24

Gen Kato

大正の「女優」創生期を輝かせたひとり。あの著名人との関わりにもびっくり。活躍できた期間はあまりにも短かったけれど、充実のうちに死んだ彼女の一生はすがすがしい。興味深いのは時折引用される一見「赤裸々」な手記。現在、「女優・伊沢蘭奢」の「演技」が辿れるのはその書物の中だけであるような気がした。

2013/12/17

satoshi

先日,津和野散策中にふと目にした「伊沢蘭奢の墓」の立て札。この名前どこかで見たことがあると思いつつ結局思い出せず,帰ってから調べて興味がわいたので本を読んでみることに。伊沢蘭奢は大正から昭和にかけて活躍した新劇女優。26歳で演劇を志して離婚。故郷の津和野からあてもなく上京し,28歳でやっと初舞台を踏むという異色の経歴。トップスターとなってからの長男との再会はなんとも甘酸っぱい。彼女のことを知ることができて良かった。

2010/08/22

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