村上龍対談集 存在の耐えがたきサルサ (文春文庫 む 11-1)
村上龍対談集 存在の耐えがたきサルサ (文春文庫 む 11-1) / 感想・レビュー
こうすけ
村上龍の対談集。中上健次、庵野秀明、蓮實重彦などが目当てで読む。時期としては『五分後の世界』のあたり。村上春樹批判を誘われても、乗っからない村上龍。対談だから仕方ないが、「いまの時代は~」「いまの日本人は~」という主語の大きさが、若干引っかかる。その反面、キューバのことは手放しで誉めるのも稚拙な感じが。しかし、そんな中でも河合隼雄は知性ある人格者という感じで良い。大きな主語では語らず、常に例外や異端を視野に入れて話しているのが誠実な印象。村上龍好きにはおすすめ。
2021/05/22
スミス市松
これは素晴らしい対談集。中上建次、柄谷行人、坂本龍一といった論者から河合隼雄や田口ランディ、庵野秀明など多彩な顔ぶれが揃っている。やっぱり00年代とは90年代が熟成した時代なのであって、ここでは現代を象徴する諸問題の萌芽ともいうべき様々な事象を厖大な情報量で、それでいて分かりやすく語っている。90年代を語る上で、さらには現代を語る上でも有効な一冊だろう。この本と比べると、最近の「ゼロ年代の~」という一連の書籍群はとても貧しく感じる。なぜなら10年間というのは2つ3つの結論に収まるほど易くないからである。
2010/04/13
rueshё
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2003/10/13
ふな
村上龍に反感を覚えながら惹かれる理由が、この対談集を読みながらふと気付いた。村上龍は残酷なのだ。淘汰を自然とし差別が当然とする。奇形児というのか異才というのか。今さらながら自分の中にもそうした残酷性があって、それに知らず共振していたことに気づいた。
2014/10/26
oz
再読。当たり外れが大きいが対談集が好きだ。中でも本書は特に気に入っている。白眉は本書名の由来にもなった最晩年の中上健次との対談で、この為だけに本書を購入しても良いくらいだ。その舌鋒は鋭く、柄谷をして「中上の死後、文壇の空気が弛緩した」と言わしめた男は小説の限界を見つめるモダニストでもあった。そして中上文学を貫流する音楽と文学の関係…。読むたび彼がこの後何処へ向かおうとしていたかを思い、いたたまれなくなる。最後に中上という人間をすごく正確に捉えていると思えた部分、曰く「本当に知的な人間というのは野蛮」
2009/09/21
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